菅山寺・朱雀池でほっとする
長浜市の北部・大箕山(おおみやま)の山中にある菅原道真ゆかりの古刹・菅山寺。境内にはオアシスのように木々に囲まれた「朱雀池」がある。無住となって久しいが、豊かな植生を持つ寺域の森に魅せられた人たちが「菅山寺の森 友の会」を作り、森を知り、学び、整える活動を定期的に行っている。今月、同会が主催して朱雀池の清掃が行われると知り参加させていただいた。
寺を管理するのは余呉町坂口の人たちで、自治会や「菅山寺保存会」の役員さんも参加、総勢30人を超える人たちが集まり、池の排水に使う重い発動機も携え菅山寺へ……。池に着くと、友の会のメンバーや、保存会会長の布施善明さんらの指示で、池に入って沈殿した木の葉や枝をかき上げる人、それを遠くへ運ぶ人、ポンプを使って排水を行う人など、熊手やスコップ、一輪車なども使って作業が進む。
池の清掃は、余呉町坂口の人たちが2年おきに行ってこられたが、天候の都合で中止されるなどして昨年6年ぶりに行われ、友の会も協力。やり残した感があったことから今年は友の会が主催して行った。布施さんは「木の葉や枝が入ると水が酸性になり、生き物が棲めなくなる」と、清掃の必要性を話す。
池ではコイやカメ、カエルなどが泳ぐ姿を見ることができた。他にもきっとたくさんの生き物がいるはずだ。清掃活動中、「以前は水草が繁っていましたよね」という声を聞いた。手を加えなければ環境がどんどん悪化してしまうのだろう。
布施さんは、年中枯れることなく水をたたえる朱雀池があったから寺ができ、そこで暮らす多くの人たちの生活を支えたと言い、山中にありながら水が枯れないのは周辺のブナ林のお蔭と話す。
そのブナ林の美しさに魅せられた友の会の皆さん、会の呼びかけに応え清掃活動に参加された多くの方々。終了後には「もっと水を抜きたかった」「昨年よりもたくさんの落ち葉を回収できた」「貴重な体験ができた」と充実した様子で感想を語っておられた。
布施さんは「池があるからほっとする、きれいになればますますほっとする」と感謝の気持ちを伝えた。作業の前、布施さんは「本来であれば池に入る前には〝お祓い〟を行います。今日はお祓いはありませんが、その気持ちで池に入ってほしい」とも言われた。その思いとともに池を美しく保つ活動が続いていけばいいなぁと思う。
友の会はほぼ毎月1回、菅山寺の森で植物観察や整備・清掃活動を行っている。Facebookで告知、だれでも参加できるので興味のある方はぜひ「菅山寺の森 友の会」で検索を。余呉町坂口には菅山寺の仏像や寺宝を収蔵・展示する「弘善館」があり、9月25日に秋の大祭〈天神祭〉が行われる。
【蜻蛉】