参詣曼荼羅 描かれた先喰台と烏
近江鉄道多賀大社前駅のウインドーに「多賀参詣曼荼羅(安土桃山時代)」の複製が展示されている。時間を気にすることもなく、間近に見ることができる絶好の機会だ。
先喰台は「せんじきだい」と読む。写真左の円で囲んだ部分である。先喰台の方を見ている烏を「先喰烏」という。神前への御供を先にカラスに食べさせる神事は、一般的に「御烏喰神事(おとぐいしんじ)」と呼ばれ、愛知県の熱田神宮の摂社である御田神社(みたじんじゃ)では、「烏喰の儀(おとぐいのぎ)」が、広島県の厳島神社では、「御烏喰式(おとぐいしき)」として行われている。興味深いのは、先喰台が存在するのは、多分、日本唯一、多賀大社だけなのである。そして今もその神事が行われ、先喰台も使われている。多賀参詣曼荼羅には、その他興味深い様々なことが描かれ、想像力をかき立ててくれる。どれだけ曼荼羅を読み解けるか、試してみるのも面白いのでは
ないだろうか。
【風伯】