エジプト館と梅雨の高月
エジプト館は、4年前に開催された「愛・地球博」のパビリオンを移設したもので、当時の展示品をそのまま見ることができる。ツタンカーメンの黄金マスクや大英博物館の入り口にあるロゼッタストーン、人々の生活を描いたパピルス……誰でも一度は耳にしたことがあるだろう。どれもレプリカとはいえ、目の当たりにするとやっぱり、約5000年前への浪漫を感じずにはいられない。
日本はまだ縄文時代で文字すら存在していない。同じ時空にあってこんなにも異文化なのに、展示品を見ているとどこか親近感が湧くのが不思議である。それにしても、何故、高月町でエジプトなのだろう。北近江リゾートの前田清澄さんに訊ねてみた。
「高月町は、古くから村ごとに観音信仰が受け継がれています。これは元を辿ると、シルクロードの文化なんですね。そしてそのスタート地点はエジプトです。高月の山の向こう、はるか空の向こうはエジプトとつながっています。それを頭の片隅で思いながら、じっくりと展示を見ていただければ、より一層、楽しめるはずですよ」。
エジプト館の建物は、高月に移される際に、周囲の風景にあわせて新たに建てられたものである。平日は門が閉じられていて、傍らのインターホンで連絡をとればスタッフが開けてくれる。これは、事前に連絡を入れることで、秘仏を拝観することができる観音堂見学のアイデアを取り入れたものだそうだ。
入梅宣言があってからしばらく経った日、ふいに、北近江リゾートのエジプト館を思った。
”雨“というキーワードから、ナイル川の恩恵と氾濫に接して文明を築いた古代エジプトと、琵琶湖と高時川の恩恵と氾濫の歴史を色濃く残す高月町との組み合わせを連想したのかもしれない。
北近江リゾート エジプト館
滋賀県高月町唐川89 / TEL: 0749-85-8888
営業時間 10:00〜17:00
定休日 第3火曜日(7月〜8月は無休)
入館料 大人 500円 / 小人 300円
店舗等の情報は取材時のものですので、お訪ねになる前にご確認ください。
【木屋凧】