近江麻布ばすたおる
彦根の夢京橋キャッスルロードにある「夢京橋あかり館」は「あかりと香り」の専門店として、キャンドルや薫物を販売している。江戸時代、和蝋燭が彦根藩の献上品で地場産業だったことが誕生の理由だ。運営は第三セクター(株)夢京橋が担っており、様々なかたちで彦根のまちづくりにひと役かっている。
昨年、籔田清氏館長の企画したオリジナル商品「近江麻布ばすたおる」が、全国観光土産品連盟会長賞(主催:日本商工会議所・全国観光土産品連盟)を受賞した。「土産物といえば、食べるものばかりなので、地元に由来をもつ商品が欲しかったのです。調べてみると、江戸時代彦根藩の保護のもと、湖東地域名産の麻織物は高宮布・高宮縞の名称で専売品のひとつとして、中仙道の宿場町高宮から全国へ行商されていました。麻を使ったものができないかと思ったのです」と籔田館長は、開発当時を振り返る。
「近江麻布ばすたおる」は、夢京橋あかり館と滋賀麻工業(株)のコラボ商品で、開発に5年を費やした。
麻の魅力は何と言っても肌触りだが、放湿性や吸湿性、熱伝導性は、天然繊維の中で最も優れているのだという。通気性や麻の繊維であるセルロース糸繊維は虫類の食用にならず、防虫効果が期待できる。強度は羊毛の4倍、綿の2倍と天然繊維では最も強く、特に濡れた状態では乾燥時の60%も強度が増す。麻は夏だけの素材ではなく、オールシーズン対応素材なのだ…。籔田館長の麻に関する解説を聞くと、麻ほど素晴らしい繊維はこの世に存在しないのではないかと思えてくる。
夢京橋あかり館では、バスタオルだけでなく、近江麻布を用いた、フェイスタオルや布巾などの商品も用意している。土産というよりは、日常のライフスタイルとして麻を取り入れることを考えたい。
店舗等の情報は取材時のものですので、お訪ねになる前にご確認ください。
【編集部】