会いに行く桜レポート 2

三津町の3つ 宇曽川の桜ライトアップ

このエントリーをはてなブックマークに追加 地域: 彦根市 2009年4月26日更新


ライトアップされた宇曽川の桜

 彦根市三津町には遠方から人々の集まるスポットが3つある。
1つめは、全国でも珍しい福の神「勝鳥神社」。2つめは絶好の稚アユ釣りポイント。そして3つめは、宇曽川沿いの桜並木である。三津町の3つ。おそらく偶然の産物なのだろうけど、数字が符合しているのが面白い。
 なかでも、宇曽川の堤防沿い約450mの区間に植えられた約60本の桜並木の、花の季節にライトアップされる様子は必見だそうだ。知る人ぞ知る夜桜の穴場として、年々、注目度が上がってきているという。作業中のコンピュータが熱気を放出する事務所を抜け出し、夜の花見へと足を運んでみた。

 等間隔に照らし出された満開の桜。街灯はほとんどなく、闇夜に浮かび上がって見える。花見用の桟敷も用意されていた。日が落ちてからしばらく経っていたのに、ちらほらと堤防を歩いている人たちの姿がある。対岸の肥田町側から、宇曽川の水面に映りこんだ夜桜が幻想的な雰囲気だった。
 この桜は18年前に植えられたもので、ライトアップが始まったのは一昨年からのことである。数年前まで存在しなかった風景だったのだ。
 地元の自治会が中心となって、桜の世話はもちろん、照明も桟敷も看板も、すべて有志ボランティアで整備されてきたものだ。自治会の中心メンバーの1人として取り組み、夜桜の発案者でもある藤野吉治さん(69)にお話をうかがった。
 「幅広い世代に、三津町の魅力を感じてもらえる憩いの場にしたいと、地域のみんなが出来る範囲のことを継続して形作ってきました。1年に1週間ほどの限られた期間ですが、自慢のスポット3本柱の1つ『宇曽川の夜桜』を大勢に楽しんでもらえると嬉しいですね」。

 今はもう葉桜の季節。
再び熱気を放出しているコンピュータの前に座っていると、ふとあの晩の宇曽川を思い出すことがある。 

 桜に会いにいく。
 或いは、会いに行く桜。

そういう桜が少しずつ増えていくのだ。

金凪

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