ヒツジグサ

　睡蓮は絵や写真で幾度も見たことはあった。「ヒツジグサ（未草）」という名前があることを初めて知った。それが「未草」だと判ってみると新しいイメージが湧いてくるから不思議だ。
　「未草」は、未の刻（午後2時頃）に花を咲かせることから名付けられたといわれている。睡蓮の「睡」の漢字も手伝って、湿潤な明るい夢の中…。
　近頃、短い眠りのなかで明瞭な夢を見るのが好きである。ああ夢だと思って見ている。怖い夢をそういえば見なくなった。友人も出て来ない。現実と何処かで繋がっているのだろうが、夢の住人とちゃんと話をしている。これから出会う人々なのだろう。
　ところで、睡蓮の英名は「water lily」。『琵琶湖周航の歌』は『ヒツジグサ』が原曲。「Water-Lilies」という英国の詩に吉田千秋が曲を付けたものだという。世の中知らないことばかりで、こっちの世界も夢のようだ。

【小太郎】