移動コンビニ「カエル号」がゆく!

このエントリーをはてなブックマークに追加 地域: 長浜市 余呉町 2015年4月17日更新

 長浜市余呉町。カエルのイラストが描かれた軽トラックが、軽快な音楽を流しながら集落の中を走っている。集落の一角で止まり、荷台のコンテナが開かれると、そこには野菜や果物、肉などの生鮮食品やお菓子類、日用雑貨などが姿を現した。ほどなくして、近所の人たちが一人、また一人と集まってくる。この軽トラックは、一般財団法人「湖北水源の郷づくり」が運営する移動コンビニ「すいげんのさとカエル号」。毎週火・水・木曜日の3日間で旧余呉町内の全集落を巡回している。
 2013年の4月から移動コンビニ事業がスタートし、その年の10月に車両を一新、現在の軽トラックのカエル号となった。カエル号という名前には、物が「買える」と故郷に「帰る」の二つの意味が込められているのだそうだ。事業開始からちょうど丸二年、認知度も上がり、買い物に不自由をしているお年寄りを中心に多くの地域住民に愛されている。

白石香織さん

 カエル号での移動販売は、湖北水源の郷づくりの職員・白石香織さんを中心とした3人スタッフのシフト制で行われている。実は、白石さんと出会ったのは、去年の夏。「カエル号に乗っています」と自己紹介された。 その当時はカエル号のことをあまりよく知らなかったのだけど、とにかく高知県出身で、カエル号に乗るために余呉に引っ越してきたと聞いて、「へえ、変わった人もいるものだ」と思ったのを覚えている。白石さんは、旅行で滋賀県を訪れた際、偶然カエル号の求人のことを知って即座に決断、その2ヶ月後にはカエル号に乗っていたというものすごい行動力の持ち主なのだ。いまではすっかり「余呉の人」となった白石さん。顔なじみのお客さんと談笑する姿は地元の人にしか見えない。

 販売だけでなく、仕入れも白石さん自身が行っている。お客さんと交わす何気ない会話の中からニーズを探り仕入れるものを決めていくそうで、食品や日用品以外では、野菜の種や苗も好評だという。また、地元余呉でとれた野菜や白石さんの故郷である高知県四万十の椎茸など、カエル号でしか手に入らない独自の商品も数多く取り扱っている。

 お客さんは圧倒的に高齢者が多いが、中には小さな子どもが100円玉を握りしめておやつを買いに来ることもあるのだそうだ。カエル号は子どもにとっては駄菓子屋さん的存在でもあるのだ。「小さい子が将来、カエル号に乗る日が来るといいな」という白石さん。過疎化・高齢化が進む余呉の暮らしをカエル号が支えている。

一般財団法人 湖北水源の郷づくり

滋賀県長浜市余呉町下余呉1938 / TEL: 0749-86-8037
http://kohokusuigen.net/

店舗等の情報は取材時のものですので、お訪ねになる前にご確認ください。

はじめ

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