缶蹴り
「缶蹴り」という遊びがある。若い人は知らないだろうが、この遊びは実に素晴らしいと思い始めている。
公式ルールは存在しないが、簡単に説明すると、必要なモノは空き缶だけ。半径5メートルほどの円を描き、その中心に缶を置く。鬼を一人決め、鬼以外の誰かが缶を蹴ってスタート。鬼が缶をもとの位置にもどす間にその他の人は隠れる。鬼は、円の外に出て隠れた人を見つけたら名前を呼び缶を「踏む」。見つかった人は円の中に捕らわれる。二人めを見つけたら名前を呼び缶を二度踏む。但し、鬼は見つけた人の名前を呼ぶためには一度円の外に出なくてはならない。
全員が見つかれば鬼を交代する。鬼に見つからずに、誰かが缶を蹴れば、ゲームは最初からやり直しとなる。また鬼に見つかり名前を呼ばれても、鬼が缶を踏む前に、缶を蹴れば捕らわれていた全員が再び隠れることができる。捕らわれていた人たちは、缶が蹴られることで、最初からゲームをやり直すことができるのだ。
缶を蹴ることで、みつかった皆を助けることができる。ポコペンやだるまさんがころんだも、よく似ている。
缶を蹴られた鬼には本当に気の毒だが、自分自身のための行為で皆が甦るというのがいい。そして、缶を蹴るための共同作戦も自然に生まれ、暗黙のうちに連携されていく。
実は、鬼は強いから鬼である。
もういちど、ちゃんとした素晴らしい缶蹴りをしようよ。
【編集部】