天女とかぐや姫 1

このエントリーをはてなブックマークに追加 地域: 長浜市 2015年3月2日更新

菅原道真十一歳の像(菅山寺蔵)

 余呉湖周辺には日本一古い羽衣伝説が伝わっている。
「余呉の郷の湖に、たくさんの天女が白鳥の姿となって天より降り、湖の南の岸辺で水遊びをしていた。伊香刀美は天女に恋心を抱き、白い犬に羽衣を一つ、盗み取らせた。天女の一人は、羽衣がないため飛び立てず、伊香刀美の妻となり、4人の子供を産んだ。兄の名は意美志留(おみしる)、弟の名は那志刀美(なしとみ)、姉娘は伊是理比咩(いざりひめ)、妹娘は奈是理比咩(なぜりひめ)。これが伊香連の(伊香郡を開拓した豪族)先祖である」というものだ。木之本の伊香具神社は延喜式内社で御祭神は伊香津臣命。伊香刀美と同一視されている。
 他にも羽衣伝説はあり、「昔、余呉の川並に桐畑太夫という漁師(農民とする伝承もある)がいた。あるとき、一本の柳に色鮮やかな羽衣をみつけて、返してくれと懇願する天女の言葉を聞き入れず、羽衣を隠してしまった。天女は太夫の妻となり、やがて、玉のような男の子を産んだ。……天女は羽衣を見つけて天上遠く飛び去っていった。菅山寺の僧・尊元阿闍梨は、母のない幼子を憐れみ寺に連れ帰って養育した。後に、菅原是善卿の養子となった。この子が菅原道真である」。
 随分とはしょった説明になったが、要するに近江の羽衣伝説には伊香刀美と桐畑太夫の登場する二種類に分類することができる。
 菅山寺の天満宮は、余呉町坂口から約50分の山中にあり現在は無住となっている。参道入口の近くの里坊「弘善館」では、菅原道真の十一歳の像、本地佛の十一面観音像(平安時代)など菅公ゆかりの品や菅山寺宝物資料を展示している(弘善館の問い合わせ/奥びわ湖観光協会℡0749・82・5909)。
 実は、彦根ゴーストツアーの関係で、僕は羽衣伝説を調べているのだが、羽衣伝説の天女はかぐや姫ではないのか…。昔から竹生島の名前から「竹取の翁」の話は波うさぎの文様とも関係し、近江の話ではないかと思っていた。不定期になるが、伝説の地を巡り『天女とかぐや姫』についてしばらく、追いかけてみたいと思っている。

小太郎

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