こずえアート

「暮らしの山」をもっと身近に

このエントリーをはてなブックマークに追加 地域: 長浜市 木之本町 2014年8月4日更新

 三連休の初日、木之本町藤ヶ崎で行われた「こずえアートってなに?」というワークショップに家族で参加してきた。小枝を使った鉛筆づくりや、山の木で画用木炭をつくって絵を描いたりといった体験ができるワークショップだ。
 この催しは、藤ヶ崎の雑木林をフィールドに、整備や資源利用、森林空間利用の推進などの活動をしている伊香具山友会が主催するもので、この日の参加者は大人と子どもあわせて33人。最初に会長の横関隆幸さんの案内で、山の中を少し歩いたあと、ワークショップがスタートした。
 ワークショップは、まず画用木炭づくりから。蓋のできる筒状の缶に柳などの木の枝を切って詰めていく。枝を詰めた缶は、蓋に空気穴を開けて、大きなドラム缶の中に薪と一緒に並べる。火を入れると炭焼きの要領で2時間ほどで画用木炭ができあがるという寸法だ。

 炭が焼き上がる間に、今度は小枝鉛筆づくりを体験する。福島県で子ども支援塾を主宰する菅敬浩さんの指導のもと、子どもたちは気に入った小枝にドリルで穴を開けもらって、鉛筆の芯を挿し込んでいく。鉛筆の芯は、普段使って短くなったものを再利用するとよいそうだ。芯を入れたら、小枝にどんぐりなどで装飾をして小枝鉛筆の完成だ。普通の鉛筆の芯は2・3㎜のドリルで穴を開けるということだが、僕は予め色鉛筆の芯を用意していたので、無理を言って大きな穴を開けてもらって世界でひとつだけの小枝赤鉛筆もできた。
 お昼ご飯をはさんで午後、画用木炭が焼き上がった。缶の蓋を開けると、中から艶のある真っ黒な炭が姿を現した。画用紙の上に描いてみると、しっかりと黒い線が引ける。この木炭を使って午後からはデッサン教室が行われた。
 木炭で様々な濃淡の線を引いたり、食パン消しゴムの使い方を教わったり。子どもたちは思い思いの絵を描いていた。

 今回のワークショップを企画した今北哲也さんは、「若い世代の人に、もっと身近に山に親しんでもらいたい」と話す。昔の人は山と上手に付き合ってきた。薪や柴で火を焚き、木を伐採して材木とし、炭を焼き、山の斜面では作物も育てた。山が暮らしの一部だったのだ。しかし、現代、確かに僕たちにとって山とか自然というのは、どこか遠い存在で生活と切り離された特別なところというイメージが強い。藤ヶ崎のこの活動は、「暮らしの山」としての里山を見直す・取り戻す第一歩でもあるのだ。
 伊香具山友会では、今後も里山をテーマにしたワークショップを開催予定だという。僕も山のことをもっと知りたい。そして、子どもたちにも伝えていきたい、そう強く思った。

お問い合わせ

伊香具山友会 代表 横関隆幸さん TEL: 090-4034-0087

店舗等の情報は取材時のものですので、お訪ねになる前にご確認ください。

編集部

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