ソラミミ堂

淡海宇宙誌 XXIV ビッショリミドリ

このエントリーをはてなブックマークに追加 2012年6月8日更新

 先日、よく晴れた日曜の朝は、仲間に誘われて、奥伊吹の村を歩きました。
 まずは村のはずれまでみんなで行って、そこからは、めいめい分かれて好き好きに歩く。その道すがら心うごかされるものを見つけたら、それぞれ手に手に携えて来たカメラでもってパチリパチリと写真に撮って、あとで互いに見せっこしよう。そんな遊びになりました。
 虫捕り網を、きょうはカメラに持ち替えて、風景の中に隠れている「!」印の採集大会です。
 「オヤッ」とパチリ。「アレッ」とポチリ。「ホホウ」とカシャリ。
 夢中で採集している仲間たち。あっちの彼のあたまに「!」、こっちのあなたの、むこうの彼女のあたまに「!」がほらほら、ぷかっと浮かんで見える。
 若葉の山も笑っていました。
 僕の採集手帳は、たとえばこんな調子になりました。

【フキノタワー】山里ノ道ハ坂道デアル。両側ニ高イ土手ガ迫ッテイル場所デハ、右モ左モ、丁度目線ノ高サガ地面デアル。平地デハ見下ロシテイル蒲公英ヤ杉菜ヤ蕗ノ薹トイッタ野ノ草ヲ虫ノ視点デ見上ゲテ歩クタノシサ。蕗ノ薹ヲ「フキノタワー」ト呼ンデミル。蒲公英ノ葉ヲ透カシテミル空ノ清々シサ。山里ハシバシ小ビトノ謙虚サデ歩ク。

【石垣画廊】傾斜ノ宅地ニ石垣ハツキモノ。各屋敷ノ石垣ハミナ違ウ表情デアル。一軒分ヒト続キノ石垣ニモココマデ石積ミ、ココカラセメント、ト変遷ノ痕跡アリ。驚クベキハ、イカニガチリト固メラレ、ピタリト組マレタ石垣デアロウト、隙アラバ噴キ出シテクル草ノ芽ノ力。イブキ山トハイノチ噴ク山也。日向日陰デ草モソレゾレ色トリドリノ石垣画廊ヲ歩ケバ、ホトバシル生命ノ噴射ヲ浴ビテ身モ心モタチマチビッショリミドリ也。

 

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