邂逅するソラミミ堂17 不思議の川
芹川はとても近いので、七つになる娘とでも散歩で行ける。
そろそろ雨になりそうだから、ちょっと散歩に行こうか、芹川まで。と言って誘い出した。
今日の散歩は、気持ちよく晴れていてはいけないのです。
アメノウオが、さんらんのために、びわこからそじょうしているかどうか、たしかめにいってみることにしたのだから。
アメノウオって、な に?
アメノウオは、さか な。あめのさかな。
あめのさかな?
あめのさかな。
そしたらあまい?
あまい。
あめやったら、とけ る?
とける。おひさん にあたったらとけ るから、はれたひは でてこない。
えー?
えー?
ほんまー?
ほんまー?
空想の博物誌を創作しながら、川を横目に、土手に沿って歩いていると、いた、いた。
おおきいアメノウオ!
一般にビワマスと呼ばれるアメノウオ(アメノイオ)はサケ科サケ目。川で多くは生まれ、琵琶湖へ下ってそこで育つ。成魚は産卵期になると、大雨が降るのを待って、群れをなして生まれた川へ遡上する。だから「雨の魚」。でも、とろけるようにあまくてうまいのは事実。
追いかけっこをしている二匹はオスとメス。元気いいのもいるけれど、ボロボロになって横たわり、死んで沈んでいるのも多い。
みんなタマゴを産めたのかなあ。
今度はもっと上の方まで、自転車でついて行ってみようか。タマゴを産んでいるところまで。
あちらの浅瀬で、一匹、トンビにつつかれている。トンビの横で、サギが順番待ちしてる。
買い物のおばさんが自転車をこいで行く。おじさんがジョギングしている。おばあさんが、犬の散歩をしている。
川のように、しずかに不思議が流れている。
いまの、あのこはお ともだち?
しらないのかな?
おしえてあげる?
きょうはひみつに しとこっか。