「マイミータン」な暮らしかた

cafe&めし&酒場 マイミータン

このエントリーをはてなブックマークに追加 地域: 東近江市 2013年10月23日更新

石橋信之さんと貴恵さん夫妻

 「マイミータン」とはタイ語で「お金がない」という意味だそうだ。東近江市政所町に今年春に誕生したcafe&めし&酒場「マイミータン」のチラシには「自然あります。囲炉裏あります。地酒あります。音あります。天然酵母パンあります。ランチあります。天然いわなあります。こんにゃくあります。お金ありません。」と書かれている。
 政所町は永源寺のさらに奥、三重との県境近くにある。政所茶の産地としても有名で、鈴鹿の山々に囲まれた集落の中には川が流れ茶畑が広がっている。そしてその集落の中ほどに古民家を改修したこの店はある。
 この店を営むのは石橋信之さんと貴恵さん夫妻。2人ともこの地に惹かれ移住してきた。信之さんは大阪生まれ。大学を卒業し就職したが、24歳の頃に東南アジアを1年ほど旅したことが人生のターニングポイントになった。タイ、ラオス、中国の雲南省、インドと巡る中、国境ごとに価値観が180度変わることに、自分が日本で気にしていたようなことが、どうでもいいように思えてきたという。
 帰国後、旅先で出会った友人とよく遊びに来たのが永源寺だったそうだ。いつしか、美味しいお酒のたくさんある滋賀が、自然豊かでイワナの釣れる永源寺が好きになり移住することを考えるようになった。地元の人にも自分のやりたいことを提案書にしたためてアピール。その本気が伝わり、10数年空き家だったこの家を借りることが出来たそうだ。

 改修は全て自分の手で行った。最初はテントで暮らしながら、1年半かけて基礎のやり直しから土壁塗りまでやったというから驚きだ。そしてその間に出会ったのが貴恵さんだった。東京で服のデザインをしていた貴恵さん。物質的なものに溢れた東京の暮らしに疑問を感じていた時に信之さんに出会い、ここの方が本当の暮らしが出来ると実感したそうだ。
 店内は外観からの想像を良い意味で裏切ってくれる広い空間。そこに楽器やレコードがたくさん置かれていて、いつも心地よい音楽と風が流れている。ハンモックなんかもあるので、ついつい時間を忘れて過ごしてしまう。
 メニューは基本的に2人が食べたいと思うもの。ランチはスパイスとココナッツの香りが効いたタイ風チキンカレーや、季節の食材に合わせて変化する本日のランチとパスタランチがある。貴恵さんが丹精込めて焼いた天然酵母パンや信之さんが湧き水で丁寧にいれたコーヒーも美味しい。
 前もって予約をすれば夜は宴料理を用意してくれるとのこと。地酒も豊富に揃っているので、囲炉裏を囲みながら音を奏でて宴を開くのも楽しそうだ。
 実は最近、石橋夫妻に息子さんが誕生した。彼のおかげでますますここの居心地の良さが増している。信之さんは「この景色を見ていたら日頃イライラしていることも自然と忘れます。来てくれる人にもそうなってもらえたら。ここが旅人の立ち寄る1本の木のようになればいいですね」と語ってくれた。

cafe&めし&酒場 マイミータン

滋賀県東近江市政所町857-3 / TEL: 050-5802-9851
営業 金・土・日曜日のみ 11:30〜17:00 ※夜は予約制で営業

ランチ 1,200円、湧水コーヒー 350円、ハーブティー350円、ビール(大) 600円、地酒 600円
※宴料理、囲炉裏料理、天然イワナ料理なども 対応可(要予約)

店舗等の情報は取材時のものですので、お訪ねになる前にご確認ください。

れん

スポンサーリンク