3つの異なる店舗が集う「&Anne」

&Anne

このエントリーをはてなブックマークに追加 地域: 彦根市 2013年6月17日更新

 今年3月1日、彦根中央商店街に真っ白な店が誕生した。外から覗きこむとケーキや焼き菓子を売っている様子と、その時ごとに変わる催事コーナーがあることがわかる。そして奥に並ぶのはたくさんの本。そう、この空間は洋菓子店、書店、そして展示室という3つの顔を持つ複合店舗「&Anne(アンドアン)」。「彦根銘菓三十五万石」で知られる和菓子の老舗、「菓心おおすが」がプロデュースする店だ。
 「&Anne」はおおすがの本店隣にある空き店舗を利用して作られた。3年ほど前からシャッターが閉まったままになっていることが不満だった、と店主はいう。テナントを探すのではなく、自分たちでシャッターを開けようと考えて始まったのが、「&Anne」のプロジェクトだったという。おおすがの当代はパティシエの修業をしていたこともあり、洋菓子店をつくることはスムーズに決まった。しかしただ洋菓子を売るだけでは寂しい。そこで考えだされたのが「建物のなかで楽しむ」ことができる、現在の複合施設だった。
 展示室では月替りで作家の方の展示や販売を行うほか、月に1回程度はテーマに沿ったワークショップを行うなど、常に新鮮な情報提供や催しが行われる。絵本や雑誌、文具なども扱う書店スペースには、レシピやインテリアに関するものなど「衣食住」にまつわる本を中心に、眺めているだけで楽しくなるようなタイトルがそろう。「手にとって読みたくなるような本、いいなと思う本を選んでいます」と、本コーナーの担当の方が教えてくれた。

 外からもよく見える洋菓子のスペースには、ケーキや焼き菓子はもちろん、オリジナルの紅茶、ジャム、シリアル、雑貨などが販売されている。 棚に並べられた菓子はタルトタタンやマドレーヌなど「伝統菓子」と呼ばれる、古くから各地で愛されてきた素朴なケーキや焼き菓子が中心。「何百年もの間、地域の人々に愛されてきた伝統的なお菓子は、和菓子とも相通じるものがある」と店主。長く愛される菓子を提供するのは、「おおすが」にも「&Anne」にも共通する思いでもある。美味しさの秘密は粉と焼き窯にある。粉は滋賀県産を使用し、和菓子を作る時に使われてきた、年代物の大きくどっしりとした窯を使って、高温でしっかりと焼き上げる。香りにもこだわっており、洋酒などを使って各々の菓子にあった風味付けをしているという。一番のおすすめは、なんともいえない色と香りに思わず手が伸びるカヌレ189円。外はカリっと中はもちふわっの独特の食感がたまらない逸品だ。この自慢のカヌレこそが、重厚な窯の賜物なのだという。筆者はカヌレが好きで、いろいろな店のカヌレを食べてきたが、ほかでは味わえないほどの歯ごたえと味わいに驚かされた。「一番好きだ」と大声でいいたいほどのカヌレだと、個人的に思っている。
 料理スタイリスト堀井和子さんのシンプルなイラストが使われた包装紙など、細かな部分にまでこだわりのひそむ「&Anne」。何度も足を運んで心地良い空間を堪能し、その魅力を少しずつ発見していくのが、この店舗の楽しみ方ではないだろうか。

&Anne (アンドアン)

滋賀県彦根市中央町4-35 / TEL: 0749-22-5288
営業時間 10:30〜18:00 / 定休日  水・木

ケーキはタルトタタン367円、チーズケーキ315円など。焼き菓子はカヌレ189円、マドレーヌ136円、ファーブルトン189円。&Anneガレット420円などプチギフトに最適な菓子も充実。

店舗等の情報は取材時のものですので、お訪ねになる前にご確認ください。

みなみ

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