受け継ぐということ——湯葉

このエントリーをはてなブックマークに追加 地域: 彦根市 2012年8月29日更新

湯葉を竹筒に巻き付けた「飛志貴湯葉 」

 豆乳にニガリ等の凝固剤を入れて固めてできたものが豆腐で、豆乳を加熱し表面に張った皮膜が湯葉である。精進料理の食材として発達し、優れた栄養価を誇る食品だ。
 彦根市芹橋一丁目にある「湯葉製造司 大半」の創業は、今から120年ほど遡り明治という時代である。ご主人の梶田正喜さんは3代目。戦前までは彦根にも数軒の湯葉屋があったというが、大半は戦後残った最後の一軒である。
 未だに、すりつぶした大豆を薪を使って大釜で煮る。銅製の丸くて浅い「湯葉鍋」を炭の直火で温める昔ながらの手仕事である。京都などでは角形の鍋を湯煎で温める製法に変わり、湯葉の皮膜の端に串を入れて引き上げるため1枚だが、大半では湯葉の中央に串を入れて二つ折りにして引き上げるため、ボリュームのある湯葉となる。
 難しいのは炭火の加減である。温度が高すぎても低すぎても湯葉はできない。長年の勘で炭の火加減を調節し沸騰しない温度を保つ。
 午前中に生湯葉、午後から「飛志貴湯葉( ひしぎゆば)」をつくる。「飛志貴湯葉 」は竹筒に巻き付け乾燥させる筒湯葉で、明治時代開発された大半のオリジナルだ。3日がかりで仕上げる手間暇かけた湯葉である。
 学ぶべきことは、いつもそこには伝統を守ろうとする愛情と、それを支えようと見守る愛情があるということだ。          

湯葉製造司 大半

彦根市芹橋一丁目1-37
TEL: 0749−23−2533

店舗等の情報は取材時のものですので、お訪ねになる前にご確認ください。

編集部

スポンサーリンク
関連キーワード