塩津の駅で、「ちょっと一服」しょ〜

ちょっと一福

このエントリーをはてなブックマークに追加 地域: 西浅井町 2010年10月21日更新

JR近江塩津駅構内の「ちょっと一福」

沢田清美さん、増谷和子さん、増谷淑子さん

よもぎ餅入りのうどん

 突然だが、コロッケの話だ。ご飯のおかずにも、小腹を満たすおやつにもなる気安さを気に入っている。家で揚げ物をするのは気合が必要なので、出来上がったものを買い、温めて食べることが多い。コロッケといえば、お肉屋さんかスーパーの総菜コーナー……だが、意外な場所で見つけた。JR近江塩津駅の改札口のすぐそばにある軽食のお店「ちょっと一福」だ。待合室を改装したつくりで、厨房を区切るカウンターにトレーに入ったコロッケが置いてある。
 お店を運営するのは、近くに住む沢田清美さん、増谷和子さん、増谷淑子さんの3人。もともと3人は働く主婦だった。「駅周辺には飲食店も商店もなく、電車で来られた方には不便で……。うちの家は駅のすぐそばで、お湯をさしあげたり、おにぎりを作って食べてもらうこともありました。ちょうど3人が勤めを辞めた時期も重なったので、相談して開店を決意しました」と和子さんが教えてくださった。
 お店のメニューの出発点は、よもぎ餅だったという。地元のよもぎを使った手作りのお餅を使いたいということで、よもぎ餅入りのうどんを考案した。加えて笹の葉で包んだおにぎりを主力メニューとして始め、その後コロッケが登場したそうだ。「ちょっと一福」は食に関する仕事に就いていた和子さんのプロの腕に加えて、3人分の主婦の知恵がつまっているのだ。
 コロッケは薄めの衣の中のほくほくとした男爵いもや、しゃきしゃきとした玉ねぎの甘味が感じられ、やさしい味がする。一緒に食べたうどんの手づくりかき揚げも美味しかった。
 この日、私は車で駅を訪ねて気づいたのだが、無人駅の特例ということもあり、切符を買わなくても「ちょっと一福」を利用することができるのだ。
 店内には、なじみの方の提供による界隈の四季の写真や、見どころが紹介されている。そのなかに「春夏冬一福」の書がある。秋がない。商い、飽きない、空きない……奥深い秋である。しばしの一服のつもりが、おしゃべりに時間を忘れてしまうのである。

ちょっと一福

滋賀県長浜市西浅井町余245 近江塩津駅舎内
TEL: 0749-88-0989(近江塩津駅)10:00〜15:00 月・金休

男爵いもコロッケ、かぼちゃコロッケ(秋季限定)各60円、おにぎり(具材は各種)60円、よもぎ餅入りうどん(きつね500円、かき揚げ550円)、福ちゃん(さつまいもとりんご入りドーナツ)60円など。うどん以外はテイクアウトできる。

店舗等の情報は取材時のものですので、お訪ねになる前にご確認ください。

椰子

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