揚げたてコロッケに秘められた、コホクノダイズの可能性
コホクノダイズ
くいしんぼうな私は、食べることにはいろいろな希望や期待がある。できたてを食べたいというのもひとつの願望である。
揚げ物は、数ある食べ物のなかでも、できたて、が重視されると思っている。そんなことを思うのは、ずいぶん久しぶりに揚げたてのコロッケを食べたからだ。油をきったばかりのコロッケをひとつ、紙に包んでもらった。ほおばるとさくさくとした衣から、クリーミーな感じのタネが顔をのぞかせる。道の駅「近江母の郷」の駐車場でのことだ。
コロッケを販売しているのは、「コホクノダイズ」さん。車にフライヤーを取り付けた移動販売のスタイルで、湖北地域の道の駅を日替わりで巡回する。レトロ調の茶色い販売車が人目をひいている。注文してからできあがりまで約5分。わくわくと待ち遠しい。
コホクノダイズのコロッケは、じゃがいも、玉ねぎ、ごぼうなど野菜がたっぷり入っているおからコロッケだ。大豆と黒大豆の2種類がある。私が選んだ「くろまめおからコロッケ」は、ほおばったときに野菜の風味と共に、豆の黒い皮がまぎれているのがはっきりわかった。
おからは県内産の大豆を使っている。「コホクノダイズ」は、旧浅井町にお住まいの山﨑誠司さん(32)が2年前に立ち上げた、大豆加工品販売の会社である。目的はただひとつ、「湖北産の大豆を消費促進する」ことにある。
「大豆って、自分たちの食生活のなかにもっとも密着している食材のひとつだと思うんです。しょうゆ、味噌、豆腐、納豆というようにいろんな食べ物にカタチを変えている。せっかくなら、地元産のものを使おうって」と山﨑さんはその目的について説明する。
「うちの製品には大豆を使ったお菓子などもあります。時間をかけて多くの人に知ってもらい、地域活性に貢献できればと思います。車でのおからコロッケ販売は、そんな目的に向かっての”ローラー活動“なんです」。
山﨑さんは前向きだ。
近隣の農家から直接買い取った大豆を自分たちで加工して、あらゆる大豆加工品を販売する店を構える、というのが、山﨑さんの近い将来のビジョンである。でももちろん車での「ローラー活動」は続けるつもりだ。できたてのコロッケをほおばる人の笑顔を見たり、「うちの大豆も使ってよ」なんていう農家の人とのやりとりは、たまらなくおもしろいのだという。
これから夏に向かっては、豆乳のクレープやわらびもち、きなこを使ったジェラートも登場する予定だ。青空の下でほおばるできたてのクレープ……。今から想像をふくらませ、おなかをすかせているのである。
コホクノダイズ
TEL: 0749-74-3812
おからコロッケ100円・くろまめおからコロッケ150円(5個入りはそれぞれ450円、600円)
道の駅「旬彩の森」(旧伊吹町)、「湖北みずどりステーション」(湖北町)「近江母の郷」(旧近江町)を日替わりで巡回。午前9時半〜午後5時半ごろまで / 木曜休
ブログで当日の移動販売先を随時知らせている。
店舗等の情報は取材時のものですので、お訪ねになる前にご確認ください。
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