職人まちの小さなシフォンケーキ
コテト工房
大通寺の東側を南北に走る道を十里街道と呼ぶ。職人が多く住んでいたことから職人まちとも呼ばれ賑わったというが、現在はひっそりとしている。だからこそというのだろうか、なぜか気になる通りとして時々思い出したように十里街道を訪ねることがある。
「コテト工房」を見つけたのはそんなときだった。シフォンケーキという看板に惹かれてガラス戸を開けた。店内はちょっと風変わりな造りだ。ケーキが焼かれているのであろうキッチンスペースが売り場にもなっていて、ラックに小ぶりのシフォンケーキとパウンドケーキが並んでいる。
出迎えてくれたのは店主の小寺慶子さん。料理やお菓子作りが好きな小寺さんが、7月にオープンしたお店だ。
「私自身はパウンドケーキのようなどっしりとした焼き菓子が好きなのですが、それだけではさみしいし、シフォンケーキもいっしょに作るようになったんです。ショートケーキやタルトはトッピングで味が決まるようなところがあるけれど、シフォンケーキは素材の味わいがそのまま生地に出るんです。それがおもしろくて」。
現在漢方のことを勉強中で、医食同源をシフォンやパウンドケーキに取り入れていきたいと考えているそうだ。
小寺さんの自宅はもともと米屋さんだった。ご両親がお店をやめ、店舗部分は自宅の玄関と車庫になり、車庫は小寺さんの工房として再び生まれ変わった……。
「昔は本当に賑やかな通りでしたよ。工房をオープンして、『街道に活気が戻るきっかけになれば』と言ってくださるお客さんもいらっしゃいます」。
シフォンケーキは家に帰ってからのお楽しみにして、パウンドケーキは大通寺裏の公園で紅葉を愛でながらいただいた。小寺さんおすすめの「いちじくの黒ビール」は、深い秋がよく似合う味だ。こんな出会いがあるから街道のぶらぶら歩きはやめられないのである。
コテト工房
滋賀県長浜市三ツ矢町14-3 / TEL: 0749-53-0322
火・水・木曜営業 10:00〜18:30
シフォンケーキ(10cm)プレーン400円、その他450〜500円。10cm以上のサイズや、デコレーションなども予約注文可能。
パウンドケーキ(自家製チャッツネ、塩、いちじくの黒ビールなど)1カット120円〜、1本1,100円〜 など
店舗等の情報は取材時のものですので、お訪ねになる前にご確認ください。
【椰子】