地域に愛される「母の味」

おかずやさん

このエントリーをはてなブックマークに追加 地域: 彦根市 2015年6月5日更新

 彦根市本町二丁目の交差点、その昔「けーきはうす まの」というお店があった場所にお惣菜屋さんが5月8日オープンした。その名も「おかずやさん」。ビバシティ彦根の中にも店舗があるのでご存知の方もあるかもしれないが、その2号店、池州店だ。
 おかずやさんは、店長の布施雅子さんが、9年前にビバシティの中で惣菜店の空き店舗ができたときに、惣菜店をやってみたいと手を挙げたのがそもそものスタートだった。それまでは、ご主人が営む子供服店を手伝っていたが、もともと料理が好きだった布施さんはチャレンジしてみることにしたのだという。その後、ビバシティの店舗は軌道に乗り、お昼時には彦根市役所前でお弁当の販売なども行うようになった。

 1年ほど前に、今回の話が持ち上がった。池州町、芹橋、栄町、城町などこの周辺の地域には高齢者が多く、また、最近、近くの商店が閉店したことから、ちょっとしたおかずも遠くのスーパーまで買いに行かなければならず困っているとの声を多く聞くようになり、出店を決意したのだそうだ。
 お惣菜は、ショーケースに十数種類が並び、さらにコロッケや唐揚げなどの揚げ物、お弁当など種類が豊富だ。そのどれもが、布施さんが普段自宅でつくる家庭料理がそのままお惣菜になった、いわゆる「母の味」だ。実は、布施さんはかつて錦町にあった料亭の娘。なるほどと思ったが、布施さんの料理は料亭の味というわけではなく、女将さんであるお母さんが家族のためにつくってくれた普通の家庭料理が元になっているのだそうだ。だから、おかずやさんのお惣菜の味は、布施さん自身にとっても「母の味」なのだ。
「近所に住むお年寄りに、少しでも元気になってもらえたら」という布施さん。「将来は、近所の外に出られない高齢者向けに個別宅配もできたら」と話す。

 まだオープンして間もないが、近所の評判も上々で、中には毎日開店を心待ちにして来てくれるお客さんもあるそうだ。今回の取材中にも、小銭を握りしめた小学生や近所に住む大学生など様々な年齢のお客さんが店を訪れていた。
 布施さんが受け継いだ「母の味」は、地域に愛され、やがて「まちの味」となってみんなの記憶の中に刻まれていくのかもしれない。そんな日が来るのではないかと思っている。

おかずやさん 池州店

滋賀県彦根市池州町1-3
TEL. 0749-27-6680
営業時間 10:00〜19:00 / 6月から火曜日定休

お惣菜 100g 170円〜、コロッケ 125円、お弁当 480円〜、オードブル等の予約も可。

店舗等の情報は取材時のものですので、お訪ねになる前にご確認ください。

はじめ

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