世界を旅する料理人が開いたデリカテッセン

eight hills delicatessen

このエントリーをはてなブックマークに追加 地域: 彦根市 2015年1月5日更新

 彦根市八坂町、滋賀県立大学前の「にしむらcafe」は、県立大学生に人気の憩いの場だった。「だった」と過去形なのは、そのにしむらcafeが今年4月に「eight hills delicatessen(エイトヒルズ デリカテッセン)」としてリニューアルしたからだ。デリカテッセンは、ヨーロッパやアメリカでは一般的な量り売りの惣菜店だ。もともとは、ドイツ語で「美味しいもの」を意味し、そこからお総菜を売る店という意味が派生した。最近は日本でも「デリ」と略されて身近になりつつある。
 店主の西村武士郎さんは、にしむらcafeのオーナー夫妻の息子さんだ。武士郎さんは、大阪の大学を卒業後、飲食関係の仕事に就いた。やがてイタリア料理のシェフとなり、京都・大阪に3店舗あるレストランの統括シェフを任されたり、調理学校の講師をしたりと活躍した。4年ほど前から、にしむらcafeを手伝うようになり、その後、料理の修業のため2年間渡米、シアトルで暮らす。シアトルでは、憧れのイタリア料理店「カシーナ・スピナッセ」で働くという夢も実現した。アメリカから帰国の際には、東廻りでアメリカ・ヨーロッパを旅し美味しいものを食べ歩いた。特に、北イタリアの料理が好きだという武士郎さんは、ピエモンテ州のアルバという町に長く滞在し、現地の料理を存分に味わったのだそうだ。そして、帰国後、リニューアルという形でこの店を開いた。店名のeight hillsは、八坂に由来する。
 お店に入ると、正面に置かれた大きなショーケースが存在感を放っている。中にはハムやソーセージなどの熟成加工肉をメインに、多国籍のお総菜やサンドイッチなどが数多く並ぶアメリカンスタイルのデリカテッセンだ。店内で食べる場合は、サンドイッチのセットやデリ8種盛りや12種盛りのセットが用意されている。

 僕は、デリ12種類盛りセットを注文。メインの料理にイタリアのローストポーク「ポルケッタ」を、スープはゴボウとレンズ豆のカレースープ、食事はフォカッチャを選んだ。大きなお皿にはメイン料理を中心に12種類のデリが盛り付けられ、そのどれもが「ちょっと変わった」味がして美味しい。食材は地元のものを多用し、味付けはアメリカ仕込み。この組み合わせが絶妙のハーモニーを生んでいる。「ちょっと変わった、よそとは違う味付け」は評判で、外国人のお客さんからも人気を博しているそうだ。
 ところで、eight hills delicatessenの店内の壁には大きな世界地図が描かれている。旅行好きで地図が大好きだという武士郎さんが自ら壁に描いた世界地図で、行ったことのある場所にピンが刺してある。「このピンの場所全部に行ったんですか?」と聞いたら「最近はお客さんが自分の行ったことのあるところにピンを刺すようになったので、このピンの場所全てに行ったわけではないですけどね」と武士郎さんは笑いながら教えてくれた。それからしばらくの間、地図を見ながら旅行談義に花が咲いた。僕も学生時代バックパッカーをやっていたので、世界地図を前にするとつい話が弾んでしまう。「お店が軌道に乗ってスタッフも増えたら、みんなでスペインにハムを食べに行きたい」と武士郎さんは少年のように話す。
 いまはまだ試行錯誤の連続。1月中旬からは営業時間を午前9時からにシフトして、しっかりとした朝ご飯が食べられるようなメニューも用意する予定だ。
 いつか、武士郎さんの手によって、あの世界地図に新しいピンが刺される日が来るのを楽しみにしている。そのときにはきっと、たくさんの土産話と一緒にお店のメニューにもまた新しい味が追加されるに違いない。

eight hills delicatessen

滋賀県彦根市八坂町3181 / TEL: 0749-28-0837
営業時間 11:00〜21:00(2015年1月中旬から9:00〜18:00の予定)
定休日 月曜日
http://eighthills.jp/

店舗等の情報は取材時のものですので、お訪ねになる前にご確認ください。

編集部

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