絵に描いたような風景を愛でるお湯

彦根・かんぽの宿

このエントリーをはてなブックマークに追加 地域: 彦根市 2009年2月22日更新


一面ガラス張りで、琵琶湖と対岸の山々を見渡すことができる大浴場

 祖父母の家のお風呂は、まきで沸かして、浴槽の底に板をひいて入る五右衛門風呂だった。うまくバランスがとれないとひっくり返ってしまったことをよく覚えている。浴室の壁に山の絵が描かれていたことも印象的だった。昔の銭湯でよく見かけた絵である。お風呂にはどうして山の絵があったんだろう。考えてみると不思議である。
 タイルに描かれた絵のような風景が広がるお湯がある。彦根・松原の湖岸に建つかんぽの宿の大浴場だ。6階にあり、地上約20mの高さ。浴場は壁一面ガラス張りで、琵琶湖と対岸の山々を見渡すことができる。伊吹山が視界の右側に入る。山々はほんのり冠雪している。空と琵琶湖がくっきり青いから、白さが際立つ。お湯に入るまでにすでに「ほおーっ!」と感嘆符付きのため息が出る。
 かんぽの宿のお湯は、彦根では唯一の天然温泉でもある。泉質は単純温泉で、一部加水してはいるものの、神経痛・関節痛・健康増進などに効き目があるようだ。1階には普通の湯船と露天風呂が設けられた家族風呂の温泉もある。手すりやリフトなどが設置されていて、介護が必要な人でも介護者と共にお湯を堪能できるのが特徴だ。
 「毎日入りに来られる地元の方もいらっしゃいます。健康のため歩いていらっしゃる方もおられますが、この時期でも湯冷めしないんですよ」と三浦庵(いおり)総支配人が教えてくださった。温泉の湯は、普通のお湯と比べると体の温まり方がまったく違う。毎日のように来る人ははつらつとしておられるという。温泉の効能はあなどれないようだ。
 ところで、大浴場は女風呂のある方角の方が男湯よりもいくぶん見晴らしがいいそうだ。実際、女湯と男湯を入り比べた訳ではないが、女性の私は得をした気分である。ほくほくとお湯につかり、タイルの絵の考察をしながら、絵に描いたような景色を堪能する……。タイル絵は、温泉好きの想像力の賜物なのだろうと思った。

 

かんぽの宿  彦根

滋賀県彦根市松原町3759 / TEL:0749-22-8090

日帰り入浴
11:00〜20:00 / 大人800円・小人500円(ただし平日17時までは大人600円・小人400円)
家族風呂「琵琶の湯」は要予約。詳細は直接お問い合わせください。バイキングなど食事とセットになった入浴プランもあります。

店舗等の情報は取材時のものですので、お訪ねになる前にご確認ください。

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