地域探索(まちの見え方) 1
少し前と言っても半年ほどだが、滋賀大学経済学部の近藤紀章先生の授業で学生の方々と話す機会があった。DADAジャーナルについても説明をした。「新しいまちがいろいろできて、かっこいいまちもたくさんあるなかで、僕らが、何をどういう風に語ることができるかということがとても大事だと思います」、「もしも、不思議なものや面白いものを発見して書いてくれたら、DADAに掲載するよ」と話した。2017年12月……。本当にレポートが届いた。ウェブサイトに掲載したDADAの過去記事を読み、実際に訪ねたレポートもあった。何十年とこのまちで暮らしている者にとっては、まちの見え方が明らかに異なり新鮮だった。僕は、掛け値なしに今年一番嬉しかった。僕を喜ばせるツボを心得ているようだ。本文は、編集部でタイトルと一部小見出しを入れた他は、できるだけ原文のまま掲載した。
彦根城の石垣にジャストフィットしているペットボトル
なぜそれが不思議だと思うかは絶対にありえないと私が感じるからである。まず道路から彦根城の石垣まで堀をはさんで10メートル以上あるはずだ。なのにあんな狭い隙間に空のペットボトルがジャストフィットで挟まっているわけがない。このあり得ない現象に出くわしたのは地域の社会と経済の授業の課題で彦根城の周りを探索していたときに発見したのである。はじめ見たときは面白いとしか思わなかったが、よく考えると不思議なのである。
まずどうやってあの穴に入れたのか? 陸から投げて入れるなどは到底できないであろう。船に乗って入れるならおそらくできるだろうが、わざわざそんなことをはしないであろう。いくら考えても答えは出てこないのである。一度なぜ、あんなところにあるのかと考え出せばきりがないのも事実である。
私は「不思議とは考え出さないと始まらない」と思うのである。私がこの状況を不思議と思ったのは、やはり何故、どうしてと考え始めたからである。この不思議に出会えたのも、考察することができたのも全部この地域の社会と経済だと考えるとやはり私はこの授業をとったのは正解だったのだと思う。この授業をとっていなかったらこんな風に彦根の面白いところや不思議だと思うことはなかったはずなのである。
(T.U)