12分の1の世界 「craftたま屋」の作品展

このエントリーをはてなブックマークに追加 地域: 彦根市 2012年10月17日更新


 「スケールの小さなお披露目会」と題した作品展の案内を手にした。ずいぶんと控えめなタイトルだと思ったけれど、縮尺12分の1で作り上げたミニチュアだから「スケールの小さな」と表現するのがふさわしいのかもしれないと思い当たった。作品展を開くのは大越玉代さん。初めてお会いしたとき、精密に彫り上げた消しゴムはんこの作品を見せていただき、「すごーい」と感心する私に、「いえいえ」と、何となく控え目だった大越さんの姿が浮かび、会いに行ってみた。
 「食品サンプル好きが原点で、5年ほど前から作り始めました。樹脂粘土に着色して作る遊びです」という。遊びとはいえ、「定規と電卓は必需品」で、正確な縮尺と、本物のような質感をいかにして出すかが苦労でもあり楽しみな世界なのだそうだ……。

大越玉代さん

 初期の作品という「天ぷら盛り合わせ」と、近作の「天丼」を見比べると、確かにエビのしっぽの色合いや衣の質感に違いがある。作品を納めた小箱の中は、完成品とパーツの数々がきちんと整理されていて、大越さんはピンセットで取り出しては、セットして見せてくださった。虫眼鏡を添える心配りも流石だ。
 ざるそばや天丼、きつねうどんなどは「出前シリーズ」、エビフライやオムライスなどは「洋食シリーズ」と呼ぶ。他に10センチ四方の「ドールブース」と呼ぶシリーズもある。これは駕籠に盛られたリンゴの写真からイメージを膨らませ、リンゴの駕籠が置かれた部屋の一角を作り上げたのが最初だと教えてくださった。きっと、物の取り合わせの絶妙さにもその人らしいセンスが伺えるのだろうと思う。近作には猫のフィギュアもあり、手にしたお盆に出前シリーズの一品を載せて、「お給仕猫」にして見せてくださった。

 今まで、フリーマーケットなどに出店したことはあったそうだが、作品展は初めて。小さな作品だからこそ、どのように並べようか、見せようかと十二指腸が痛むプレッシャーを感じながらも、「友人や親戚などに見て欲しくて。ミニチュアを作っていると言っても、見せる機会がなかったから……」と楽しみな様子が伺えた。だからお披露目会なのだ……。「所詮は自己満足の世界でしかない」とも言われたが、見てくれた人の驚きや感動、会話が次への意欲につながっていきそうな予感もある。
 会場となる魚佐(彦根市高宮町)は、かつて魚屋さんと仕出し屋さんをしていた親戚のお店で、現在は中山道の休憩処になっている。秋のひと時、ふらっと訪ねるにはちょうどよさそうだ。

 

craftたま屋ミニチュア作品展

スケールの小さなお披露目会
2012年10月27日(土)・28日(日)10:00〜16:00
会場 滋賀県彦根市高宮町 魚佐 / 入場無料 
連絡先 大越さん 080-3114-4622

大越さんの作品はブログでも紹介している。

店舗等の情報は取材時のものですので、お訪ねになる前にご確認ください。

めい

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