交通安全PRのため巡回中 パトカー電車

このエントリーをはてなブックマークに追加 地域: 彦根市 2012年6月14日更新

 今も昔も、子どもが憧れる特殊車両といえばパトカーだろう。「パトカーに乗りたい」と夢見たことはあっても、乗るような機会はない。パトカーをイメージした電車で、パトカー乗車の欲望を満たすのはどうだろう。近江鉄道を走る「パトカー電車」が、ささやかな夢を叶えてくれる。
 白と黒のツートンに塗り分けた車体にパトライトを模した装飾、ヘッドマークには「桜の代紋」とも呼ばれる旭日章をあしらったパトカー電車。2012年4月6日に運行を開始したこの電車は、滋賀県警が「春の全国交通安全運動」キャンペーンの一環として近江鉄道に依頼したもので、1年間近江鉄道の各線を走行する。近江鉄道と県警、JA共済との協力の下で生まれた企画だという。滋賀県の交通事故が増加傾向で、死亡事故も増えている事実が背景にある。横断歩道での事故も多いことから、特に歩行者や子どもたちに交通安全の重要性を呼びかけるのが目的だ。同時にドライバーには安全運転と飲酒運転の撲滅をPRしている。

 デザイン素案は滋賀県警。子どもたちの大好きなパトカーで興味を抱いてもらおうという意図のほか、街中ではなく、田園風景を走る近江鉄道で交通安全を訴える面白さ、さらには「電車なのにパトカー」という、ある意味ではミスマッチの面白さも狙っているようだ。初代滋賀県交通安全ふるさと大使として活躍するAKB48チームKの田名部生来さんも登場し、交通安全をアピールしている。1両目と2両目、右側面と左側面、4面全部のデザインが異なるのも特徴。白バイや横断歩道のデザインもほどこされた遊び心のあるデザインは一見の価値ありだろう。
 パトカー電車の走行区間は近江鉄道の路線全線。つまり、米原、近江八幡、多賀大社前、貴生川など、近江鉄道のあらゆる駅でこの電車を見ることができる。しかし車両自体が1編成しかないため、毎週何曜日何時といった具合に定期的にコースを走ることはない。パトカー電車を目撃したい、乗りたいと願っても、なかなか実現には至らないのだ。近江鉄道広告センターの西村武志所長は、「パトカー電車は毎日走っていますが、どこを走るかは決まっていません。めったに見られない電車ですから『見るといいことがある』と言う人もいるようです」という。運行から2カ月ほどたつが、今も問い合わせが多く、各所で話題にされるなど、交通安全の啓蒙に一定の効果を上げているようだ。

 近江鉄道が属する西武グループのスローガンは「でかける人を、ほほえむ人へ」。なかなか会えないパトカー電車も、四つ葉のクローバーをみつけるような気持ちで捉えれば楽しみにもなりうる。
 見るといいことがある 乗った一日は幸せになる  と考えれば、毎日の通勤や通学がアトラクションに変わるかもしれない。近江鉄道では今後もイベント列車やラッピング電車を多く企画しているという。今後の展開にも期待したい。

近江鉄道(株)
TEL: 0749-22-3303
http://www.ohmitetudo.co.jp/railway/

パトカー電車がいつどの路線を走るのかは、近江鉄道の鉄道部に問い合わせて確認を。土日のお出かけには、近江鉄道全線一日乗り放題に沿線各地で割引サービスを受けられる利用特典がついた「S・Sフリーきっぷ」(おとな550円、こども280円)が便利。

店舗等の情報は取材時のものですので、お訪ねになる前にご確認ください。

みなみ

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