東から昇る太陽のように
押し絵という手芸がある。
「厚紙を花鳥・人物などの形に切り抜き、綿をのせて美しい布で包み、物に張り合わせた細工」と辞書にある。大きな羽子板にあしらわれているのを見たこともあるだろう。
甲良町尼子に「尼子東会(あずまかい)」という押し絵グループがある。尼子に住む女性たちが、押し絵づくりの趣味という共通点をきっかけに集うようになって10年、現在は9人が交流を続けている。
「メンバーのうちの3人が92歳なんです。『私たちは太陽に例えると西に沈みかけていく年齢ではあるけれど、いつでも太陽が昇るような前向きな気持ちでいたい』と3人が話しておられたことがありました。年下の私たちは元気な先輩たちを見習いたいという思いも込めています」とグループの名前の由来を代表の 橋好子さん(79)と奥田都也子さん(74)が教えてくださった。東会の平均年齢は88歳、奥田さんは最年少だ。
各自制作に取り組み、月に一度近くの会館で集会をするのが決まりになっている。作品についてあれやこれやとアドバイスしあう。キットを使って作るとはいえ、独自の工夫やアレンジを加えている。その合間に、お茶やお菓子、メンバーの用意する手作りのお昼ご飯がふるまわれ、夕方までを過ごす。
集会でのお昼をご一緒させていただいた。温かいぜんざいに、畑の野菜をふんだんに使ったお惣菜……。
「この集まりを楽しみに、毎日を過ごしているようなものです」。
ここでは作品づくりに精を出しても、お昼寝してもかまわない。お互いが当たり前にサポートする。みんなが一緒に時間を過ごしている。
押し絵特有の柔らかなふくらみを出すのは、使う綿によっても変わってくると教えていただいた。そしていくつになっても太陽が昇るような前向きな気持ち。どちらも完成した作品を見ただけでは、私にはわからないことであった。
尼子東会の作品展
2011年1月30日まで甲良町立図書館で開催中!
甲良町立図書館
滋賀県甲良町横関927 / TEL: 0749-38-8088
開館時間 10:00〜18:00(土日は17:00まで)
休館日 月・火曜・第3日曜日、祝日
(土日と重なる場合は開館)
店舗等の情報は取材時のものですので、お訪ねになる前にご確認ください。
【いと】