永源寺・桑の里から糖尿病予防を発信!
世界糖尿病デー: 世界では10秒に1人が糖尿病で命を失っており、日本でも40歳以上の3人に1人が糖尿病患者であるとされている。世界的な脅威のなか、国連はインスリンを発見したフレデリック・バンティングの誕生日を世界糖尿病デーに指定した。全世界が協力し糖尿病の予防・対策を啓発するイベントを開催することで社会的な関心を高め、治療や予防を促進している。日本では、東京タワー・姫路城・永源寺地域産業振興会館などでブルーライトアップが行われた。
11月14日夜、永源寺地域産業振興会館が静かなブルーのライトに照らし出された。同日、世界中の文化遺産や名所、建物も青く輝いていた……。毎年11月14日は国連が定めた「世界糖尿病デー」で、世界各地でブルーライトアップが実施され、「糖尿病の早期受診と治療が重要だ」と呼びかけられる。2010年のブルーライトアップは、南アフリカのテーブルマウンテン、ブラジルのコルコバードのキリスト像、ドイツのブランデンブルク門、カナダのナイアガラの滝など、60ヵ国以上・500ヵ所以上の有名な建物がライトアップされた。ブルーは、糖尿病キャンペーンのシンボルマーク「ブルーサークル」に因る。
永源寺地域産業振興会館のブルーライトアップを主催したのは「農業生産法人(有)永源寺マルベリー」である。地元住民で桑を栽培し、その葉を使った糖尿病予防の健康食品を販売している。桑の葉にはデオキシノジリマイシン(DNJ)という成分が含まれ、高血糖を制御する効果があることが近年の研究でわかっている。
永源寺地域では、東近江市として合併する前から産官学が連携し、特産品開発が進められていた。そこで糖尿病予防としての桑の葉に注目し、8年前地元有志で(有)永源寺マルベリーを設立。現在、2万8千本の桑を無農薬で栽培し、乾燥させた葉をパウダー状に加工した「永源寺ミドリン」などを販売している。永源寺地域を桑の里としてPRしていこうと、過去には「桑サミット」を主催し開催、昨年から世界糖尿病デーにライトアップを始めた。
(有)永源寺マルベリー設立者のひとりで社長の吉澤克美さん(68)にお会いし、さっそくお湯で溶いた永源寺ミドリンを試飲させていただいた。見た目も味も粉末の緑茶に似ている。ほんのり甘味があるのが特徴だ。「お茶代わりに毎日何度も飲んでいますね。血糖値は正常なうえ、お通じがとても良くなります。鉄分も豊富で貧血予防にもいいんです」。吉澤さんご夫妻はおふたりともスリムで闊達、とにかくしゃきしゃきとした印象を受ける。「茶所として知られる永源寺ですが、かつては養蚕もさかんでした。永源寺ダムには今も半分水に沈みながら生きている桑がたくさんあるんです。今栽培している桑の木は、ダムの木を接ぎ木して成長させたものです。昔から永源寺で根付いてきた桑なんですね」。
吉澤さんはもともと建設会社の経営者である。「以前から農業には興味がありました。戦後の食糧難の時代に育ってきたからでしょうか、自分で作物を育て食べ物に困らない生活に対する憧れのようなものが根底にあるんでしょう」。
吉澤さんの住む地域は高齢化率がとても高いそうだ。「高齢化の進むまちだからこそできることがある」と吉澤さんは考えている。今は桑の実を使ったジャムなど、新たな製品を開発中だ。
今年の世界糖尿病デーのスローガンは「さあ糖尿病のコントロールを始めよう(Let’s take control of diabetes. Now.)」。「糖尿病教育と予防」を重点的なテーマとした5年間のキャンペーンも2009年から開始されている。
永源寺、桑の里から発信される健康へのメッセージにこれからも注目したい。まずは永源寺ミドリンから……。
(有)永源寺マルベリー
滋賀県東近江市永源寺高野町201 / TEL: 0748-27-0772
http://www.eigenji.net/mulberry/
「永源寺ミドリン」粉末(150g)・錠剤(180錠)各3,500円
「永源寺ミドリン桑茶」大袋(70g)750円・中袋(40g)530円ウェブサイトの通販で注文可。その他、永源寺温泉八風の湯(TEL: 0748-27-1126)/ 道の駅あいとうマーガレットステーション(TEL: 0749-46-1110)・マックスバリュ八日市店(TEL: 0748-25-2835)でも販売している。
店舗等の情報は取材時のものですので、お訪ねになる前にご確認ください。
【椰子】