大瀧神社でパワースポットを考える

　パワースポット巡りが人気である。
『パワースポット（Power Spot）、エネルギースポット、気場とは、スピリチュアリティや風水や気功などの考え方に基づいて、人を元気にしたり健康にする力があると信じられている場所のことである。』と『ウィキペディア百科事典』に記されている。ネット上には数え切れないスポットが紹介され、雑誌でも様々なかたちで紹介されている。
　「最近は御神木の杉に身を預けておられる方を見ることもあります。パワーをいただいておられるのかもしれませんね」と大瀧神社神主の鳥居俊宏さん
（48）が教えてくださった。

　大瀧神社は犬上川沿いの道路沿いにあり、本殿のあたりまで来ると、ザーッともサーッともゴーかも、水の流れの音に包まれる。川は大きな岩の間を縫い、落差10メートルほどの滝となっている。件のご神木は樹齢も想像つかないほどの幹の太さだ。
　「ダムができるまでは、今よりずっと大きな滝だったそうです。御祭神であるタカオオカミ・クラオオカミは犬上川の守護神として下流域に住む人々からも大切にされてきました」。
　川の音が心地いい……。
　神社から下流に向かって500メートルほどの遊歩道がある。木々と川の流れの変化を楽しみながら歩くことができる。川の対岸に小さな祠があり、イナイヨリワケノミコトを祀っている。イナイヨリワケノミコトの飼い犬が、滝に住む大蛇から身を守ってくれたという伝説があり、犬上郡という名のルーツにもなっている。
　鳥居さんは神主の傍ら別に勤めをもっていて、いずれ神職に専念する予定だという。「神社に来られる方にとっては、一生に一度の大切な祈願ということもあります。参拝者の思いを汲み取っていくことが大切な、神主としてのあり方を、他の職に就いてきた事で実感できたように思います」。
　私自身はオカルトとかスピリチュアルといった類に興味は薄くパワースポットにもピンとは来ないが、大瀧神社の水の音や鳥居さんとの遊歩道散策は、確かに最近イライラがちの私を心穏やかにしてくれた訳で、気持ちをリンスしたような感じだ。昔から、特別な場所になっているところは、何かしらの理由があるはず。それが、私にとってプラスに作用するならば、受け入れようと思った。

【いと】