かるたで知る井伊直弼

このエントリーをはてなブックマークに追加 地域: 彦根市 2009年12月20日更新

彦根城博物館謹製  直弼かるた

 彦根城博物館が製作した「直弼かるた」が好評だという。このかるたは、昨年、博物館で開催された小学生向けのイベントで作られたものが原型となっている。当時は7セットだけだったが、より広く郷土の偉人・井伊直弼の生涯や業績を知ってほしいと、一部改良を加えこのたび新装版が完成した。500セット製作し、市内の小学校へ配布。100セットのみ限定販売となった。「限定」という言葉に弱く、あわてて手に入れた。
 かるたの読み札の句はすべて博物館の学芸員の皆さんが考えた。さらに小学校の先生の助言を得て、子どもにも分かりやすい言葉が使われている。読み札には句についての簡単な説明が付いている。
 例えば、『つ』の札の句は、『使い分け 2つのサイン 考えた』。解説は、『直弼は、2種類のサイン(花押)を使っていました。直弼の「弼」の字を変形させたサインは武士・大名としての書類に、「柳」の字を変形させたものは和歌や茶道具に書き入れました』という具合だ。
 どうして「柳」なんだろうと思っていると、『柳の木 なびくすがたに こころよせ』と、『や』の札で明らかになる。説明は『直弼は、若いころから、風になびいても折れることのない柳の木を気に入っていました。屋敷に植えたり、自分の別名に使ったりしています。しなやかな柳のようになりたいと思っていたのでしょう。』
 絵札には直弼の腹心だった長野義言(主膳)や家臣の宇津木景福の肖像画を使ったものもある。「義言や景福の名前は知っていたとしても、その顔は知らないという人もいらっしゃいます。直弼を取り巻く人々にも興味をもってもらえれば」と、学芸員の小井川理さんが教えてくださった。
 鉄三郎と呼ばれた幼少時代、母との死別、茶の湯や陶芸を極めようとした心、藩主として村人の生活をくまなく見て回った直弼の生涯が、札をめくるごとに解き明かされていく。そして、幕末という混迷の時代にこの国の未来の決断を迫られた大老直弼の生き様も凝縮されている。更に感動したのはかるたの説明を、一歩深くした解説書だ。博物館資料と共に掲載されているので、小さな直弼展の図録のようになっている。
 小井川さんにお気に入りの札をお尋ねしたところ「『や』の札でしょうか。直弼は柳を愛した人ですから」という。
 「直弼かるた」の『い』は、『一期一会 今日の出会いを 大切に』である。知らないより、知っている方が人生は豊かである。一枚のかるたとの出会いも、未来に大きく影響することだってある。まずは大人が知っておきたい「直弼かるた」である。

 

彦根城博物館謹製  直弼かるた

彦根城博物館で販売中 1,000円
100セット限定販売。残りは80セット(2009年12月9日現在)

お問い合わせ
彦根城博物館
滋賀県彦根市金亀町1番1号 / TEL: 0749-22-6100

店舗等の情報は取材時のものですので、お訪ねになる前にご確認ください。

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