伊吹山麓の小冊子 『ふもと』

このエントリーをはてなブックマークに追加 地域: 米原市 2016年12月28日更新

三田村圭造さん

 「伊吹山麓の小冊子ふもと」という小さな雑誌が、今年の春、創刊された。
 季刊で発行される「ふもと」は、すでに春、夏、秋と3冊が発行されており、この冬に4冊目が出ると、季節をひとめぐりすることになる。それぞれの号は、絵画・文学に登場する伊吹山に焦点を当てた「伊吹山の引力」(1号)、伊吹山麓地域に移住してきたひとびとのあり方を見つめた「移住者たちの"田舎時間"」(2号)、伊吹山付近の醸造文化をとことん追い求めた「うまいもん求めてふもと行脚」(3号)という特集を中心に、伊吹山麓に息づく手仕事、歴史、文化などが紹介されている。4号の特集は「曳山と子ども歌舞伎」。有名な長浜だけでなく、米原や岐阜県の垂井や揖斐川町の曳山も取材しているそうだ。「伊吹山のふもと」という括りのもと、県や市という境がほぐされ、米原、長浜、岐阜県揖斐郡、不破郡といった地域が並んでいるところが新しい。
 発行しているのは、風林舎 ふもと編集室の三田村圭造さん(65)。企画から取材、執筆、編集、イラストにいたるまで、制作過程のほとんどをひとりでこなす三田村さんは、伊吹山麓の宿場町、米原市柏原生まれ。学生時代から編集について学び、国内外で新聞の仕事に携わったのち、岐阜でタウン誌の編集や立ち上げにかかわり、さらにその後滋賀県内でタウン誌6誌の立ち上げ・編集・営業を経験してきた、百戦錬磨の編集者だ。そんな三田村さんが、40数年の編集経験を経て、「自身の最後のステージに」と思い定めたのが、地元である伊吹山とその山麓をテーマとした小冊子「ふもと」なのだそうだ。

 「自分の生まれた場所でもあるし、伊吹山麓の地域は、言葉、食、歴史といった点から見ても東西日本文化の接点であるおもしろい場所。この場所で残していくことは何かと考えたときに、風土をいかした手仕事やものづくりのよさを次世代につなげたいと思った。若い世代にもこだわった手仕事をしているひとが増えているから、そういうことも伝えていきたい」という三田村さん。その思いは、記事の内容はもちろん、誌面を彩る手書きのイラストや版画、あたたかみを感じさせる紙選びにもつながっている。
 「取材したいねたが尽きないくらい、伊吹山のふもとはおもしろい。好奇心と気力が続く限りやりますよ。」三田村さん自身、農家として米や野菜も育て、料理もし、かたわら取材や執筆にいそしむ手仕事の生活者。「生活が編集みたいなもの。」と語る三田村さんには、日々が新しい誌面のように見えているのかもと思った。

伊吹山麓の小冊子 ふもと

価格:各号500円
発行:風林舎 ふもと編集室 米原市柏原1096 / TEL 0749-57-0340

*年間購読(4号分送料込み2,300円)も可能。上記編集室へご連絡ください。
*取り扱い店
長浜市…川瀬書店・田中書店・さざなみ古書店・文泉堂・三洋 堂書店長浜店・いわね書店・ますや書店 / 米原市…泰山堂・ 柏原宿歴史館・伊吹山文化資料館 / 彦根市…半月舎など

店舗等の情報は取材時のものですので、お訪ねになる前にご確認ください。

はま

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