受け継がれる尼子のカロム

このエントリーをはてなブックマークに追加 地域: 甲良町 2009年6月28日更新

尼子カロム大会の様子

 彦根市を中心に、湖東湖北地域で100年以上親しまれ続けているカロム。実は、大きく別けて二種類のスタイルがある。
 一つは、カロム日本選手権大会(日本カロム協会主催)の公式戦スタイル。そこには、一介の盤上遊戯から競技として洗練される過程で定められた、細かいルールが存在する。そして、もう一方は、まちごとに異なった昔からのルールが守られている、地域限定のスタイルである。
 6月初旬。甲良町尼子で「尼子カロム大会」が行われた。子どもから大人までが交流できるイベントとして恒例行事になっている。地区の住民であれば誰でも参加することのできる大会で、ここでは、尼子特別ルールが採用されている。対戦者が同時にブレイクショットを打ってからゲームを開始してもいい点、ストライカーを手のひらに乗せて打ってもいいなど、公式戦では禁止になったルールが尼子では生きている。地元のルールが受け継がれるところがカロムの面白さの一つだ。

左から1位 宮尾 計さん(92歳)、2位 松宮弘樹君(10歳)、3位 四宮勇太君(10歳)

 大会を主催するのは中学生だ。一ヶ月前からの準備、有線放送を使った告知、当日の司会進行、ゲームの審判まで、分担して行う。
シングルス戦トーナメントで、一試合15分。年齢制限はなく、お年寄りと子どもも同じトーナメントで戦う。
 今年、尼子地区で参加者18名のトーナメントを制したのは、宮尾 計(かずえ)さん。参加者中最高齢の92歳である。対戦した小学生が舌を巻くほどの正確なコントロールで、次々にパックをポケットに落としておられた。子どもの頃はよく遊んでいたけど、昨年、この大会に初参加するまでの数十年間はカロム盤に触れることもなかったのだそうだ。2位と3位になった小学生は本気で悔しがっていた。
 大会終了後、運営に徹していた中学生と大人によるダブルス戦の時間がとられた。傍で観戦しているだけだった中学生は、内心、参加したくてうずうずしていたのだろう。我先にと盤を囲んでいた。

水源

スポンサーリンク
関連キーワード