路上観察、始めました 2
彦根城京橋口石垣の釘

このエントリーをはてなブックマークに追加 地域: 彦根市 2015年2月17日更新

 まちのなかの風景は様々で、どうしてそうなっているのか、考えても解らないことの方が多い。長い時間のなかで暮らしと共に少しずつ様子が変わり、気が付けば新しい風景になっていたりするのだろう。記憶が途切れて忘れられていることも多い。彦根城京橋口の石垣もそうだ。釘が打ち込まれている。
 彦根東高校から夢京橋キャッスルロードに抜けるところの石垣だが、僕はそれこそ子どもの頃から知っていて、小学校の高学年の頃には、石垣の管理人のような人が、崩れないようにバランスをとるため打ち込んだ釘なのだと、独り勝手に理解していた。何かを解ろうとする時、自分の知識以上のことは想像できないのだ。
 釘は石垣の高さ150センチくらいのところの一部分にしか認められない。記憶では木材も刺さっていたことがある。
 釘が打たれている理由を「歯痛が治る御利益がある」からだと知ったのは、DADAの仕事をするようになってからだった。夢京橋キャッスルロードにある駄菓子屋「たかさご」のご主人北村久雄さん(故人)に教えていただいた。
 なるほど、彦根城には多くの石垣があるにも関わらずあの場所でなくてはならないのだ。150センチくらいの、あのコーナーでないと御利益が無い。昭和初期に石垣に釘を打ったという人に僕は出会った。何故この場所なのかは誰も知らない。まちのなかで、何故かは判らないが、そうしてきた場所がある。それを暴く必要はないのかもしれない。これくらいが丁度いい。
 「心の歯痛」というフレーズを思い出した。こいつだけはズキズキと治らない。

 

はま

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