食が支える暮らしの安心

ファームキッチン 野菜花

このエントリーをはてなブックマークに追加 地域: 東近江市 2013年5月17日更新

 東近江市小倉町、旧愛東町だったこの地域に、地元の美味しい野菜やこだわりの食材、そしてここならではの伝統料理を味わうことができる場所が先月オープンした。その名も「ファームキッチン 野菜花(のなか)」。広い店内には湖東地域産の木材(kikito材)を使ったテーブルやカウンターがあり、大きな窓から愛知川沿いに広がる緑豊かな景色を一望できる。
 厨房で料理を作るのは地元のお母さんたちである。実は東近江市では2009年から、地域に伝わる食文化を守り伝えていくことを目的に「東近江じまん家庭料理大集合」という催しを6回開いてきた。テーマにあわせて参加者が家庭料理を持ち寄り、試食しながら語り合い、最後にレシピとして残す。そうしてこれまでに230品以上のレシピが集まった。そして、それを味わってもらう場、伝え広める場として生まれたのがこの「野菜花」なのだ。お母さんたちはいわばその味の伝え手である。もともと主婦としての料理経験は豊富だったが、プロとしての調理法や厨房での動作などをこの店のオープンに合わせて約2年間研修を受け学んできたのだそうだ。

野菜花ランチ

 ランチのおすすめはボリュームたっぷりの「野菜花ランチ」。メニューは白和えや丁字麩の辛子和えといった地元の伝統料理の他、旬の素材を愛東産の米粉で揚げたてんぷら、こんにゃく芋100%の手作りこんにゃくの田楽、風味豊かな自家製味噌の味噌汁など季節に応じて変化する。テーブルには小さな紙が置かれていて、そこに素朴なイラストと手書きの文字でひとつひとつの料理紹介が書かれている。お母さんが書き置きをしてくれたようなじんわりとした温かみがあって、それを見ながらゆっくり味わうと心も身体も満腹になる。

 店は「あいというふくしモール」という敷地の中に建っている。このモールは「地域の人がいつまでも心豊かに過ごせるように」という願いの「議論と実践」の場として開設された。モールと聞くと、様々な小売店が集まった空間のことを指すショッピングモールが一番に思い浮かぶかもしれない。しかし、このふくしモールに集うのは小売店ではなく、介護を必要とする人たちの暮らしを支える施設や、高齢者と障がい者たちが生きがいを感じて働くことができる施設、地元の高齢者から若い世代までが集い交流し地域の文化を伝える施設である。こう聞くと、少し堅苦しいイメージを持たれるかもしれないが、ここは地域で暮らすすべての人にとっての安心の場として開かれている。野菜花の代表である野村正次さんは「何かあった時ここに来れば大丈夫、ここがあることで安心して年がとれると思ってもらえれば」と話す。
 中でも野菜花は食を支える場として、今後は地域への配食サービスや、地域の味を若い世代に実際に作ってもらい味わう催しも構想中とのこと。東近江で新しい「心豊かな暮らし」の形が生まれはじめている。

ファームキッチン 野菜花

滋賀県東近江市小倉町1975-3 / TEL: 0749-46-1455
ランチ 11:00〜14:00 / カフェ14:00〜18:00
定休日 火曜日

プレートランチ・春 750円、野菜花ランチ 1,100円、季節の野菜もりセット 1,600円(要予約)、ごろごろ野菜の菜ばカリー 650円、デザートセット 600円
店頭で、お総菜や愛東産の菜種を100%使用した菜たね油「菜ばかり」なども販売中

店舗等の情報は取材時のものですので、お訪ねになる前にご確認ください。

青磁

スポンサーリンク