ラガーマンの届ける和の味

Japanese Dining 和ow

このエントリーをはてなブックマークに追加 地域: 米原市 2012年12月3日更新

カウンターに立つ山鹿雅さん

 繊細な料理人と熱きラガーマンの顔を併せ持つ山鹿雅さん37歳。Japanese Dining「和ow」のオーナーである。7年前、JR坂田駅にほど近い住宅街に店をオープンした。うっかりすると通り過ぎてしまいそうな控えめな店構え、店内はカウンターが5席と座敷が19席の落ち着く空間である。けれどもカウンターの奥で調理しているのはどこからどう見てもラガーマンなのだ。
 大阪でラグビー一筋の高校生活を送っていた山鹿さんだが、紆余曲折あり卒業後は京都の調理師専門学校へ進学。安易な気持ちで入った料理の世界の厳しさに気持ちが何度も折れたそうだ。しかし、今でも兄さんと慕う師匠との出会いが料理に対する気持ちを変えた。味覚を一から育てるため甘いものや刺激の強いものを絶ち、和食のいろはを学んだ。

日替わりランチ(コーヒー、デザート付き)1,500円

 京都、静岡での修業を経て、目標としていた30歳の誕生日に奥さんのふるさとである米原で独立。自分にとってはなじみのない土地での開業だったが、この地に根を下ろすと腹をくくった。「10年、20年先を見据えて種をまき水をやっているので、すぐに結果が出なくてもいいんです」と山鹿さん。だからこそ、周囲の環境に合わせるのではなく、自分の良いと思うやり方と味で勝負し続けている。
 ラガーマンの料理は驚くほど繊細である。材料選びは市場の人が心配するほどの丁寧さで、地元産のものをできる限り使っている。何より味付けの上品さは、一口食べるごとに喜びが膨らんでいくようである。
 仕出し弁当も、見た目の派手さが求められる環境の中、あえて杉板の折箱を使用。本物の良さと蓋を開けた時の美しさに心を注いでいる。食事はランチが1500円から、夜のコースが3800円からと高すぎない価格に設定し、その中で量としての満腹感と質としての満足感の両方を届けることができる料理の試行を続けている。

 最近は、次のステップとして店でイベントを企画するようになった。ワンシーズンに一度開く「酒の会」では、お酒と料理の楽しみ方を知ってもらいたいとの思いから、酒蔵や酒屋さんと話し合って厳選したお酒と、そのお酒に合わせて作った料理を楽しんでもらっている。
 12月17日、18日には地元のミュージシャン岡田健太郎さんを招いて10名限定のコンサートも開催予定。
 また活動の幅は店だけにとどまらない。米原は長浜と彦根の通過点になってしまっていると自ら言いきり、その米原に根を下ろすと決めたからにはと、休日を使って小学生相手に東近江市以北では唯一のラグビースクールを始めた。また、地域の同世代ともつながりを広げている。和owが一つの拠点となって米原の次世代がスクラムを組み、どんなトライを見せるのか楽しみである。

Japanese Dining 和ow

 
滋賀県米原市顔戸1360-1 / TEL: 0749-52-8128
営業時間 11:30~13:30・17:30~22:00 / 日祝定休

旬の食材にこだわった和食が楽しめる。中でもあぶり鯖寿司は常連客にも人気とのこと。日替わりランチ(デザート、コーヒー付き)は1,500円、夜の食事は3,800円、4,800円、7,000円のコースがある。仕出しは1,500円~で予約が必要。12月20日までおせち(税込20,000円)の予約も受け付けている。

店舗等の情報は取材時のものですので、お訪ねになる前にご確認ください。

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