仏具店の小さなフィギュア・ショップ

　エヴァンゲリオン、けいおん、仮面ライダー、ウルトラマン、ジャンプ系アニメ。プラレールにトミカ、キティちゃん……。初めて見るキャラクターもあれば、思わず手にとる懐かしいものもある。大小あらゆるフィギュアやキャラクターグッズが混沌としている。
　店先には「和泉仏具店内にある小さなフィギュア・ショップ」という看板がある。不思議な名前だ。

　「和泉仏具店内にある小さなフィギュア・ショップ」のご主人は藤岡晃平さん（43）。
　藤岡家は名大工として知られ、三代目以降「和泉」を名に冠し、その技を継承してきた。長浜の曳山、湖北地域の寺社の建築物、浜仏壇のルーツも藤岡家にある。
　「私は十三代目にあたります。仏壇製造は祖父の代で終わり、父や私は仏壇修理などを手がけてきました。時代の流れもあり店を刷新していこうと、去年の春からフィギュアを並べ始め少しずつ増やしてきました。ここ10年でコレクションしてきたもの、そして子どもの頃から残してきたおもちゃなど幅広い品を置くようにしています」。
　「お宝的価値はわかりませんが…」と藤岡さんが子どもの頃に遊んできたおもちゃの数々を見せてくださった。メンコやブリキの電車、ウルトラガン。どれも大切に扱われ、丁寧に保管されている。
　「手元からなくなるのに未練はないですね。お客さんに大切にしてもらえれば満足です。今、関心があるのは日本製のブリキのおもちゃ。方々で探して集めています」。

　藤岡さんはさまざまなプランを描いている。愛好家に陳列してもらえるようなレンタルケースを置いたり、妻の旺玲さんの故郷中国の雑貨を増やしたり……お店の改装も着々と進んでいる。
　お店の奥には、初代が制作した長濱八幡宮の神輿の大きな絵図が飾ってある。神輿の絵図とフィギュアが同居する空間が、今、この時代にある。仏壇も寺院のフィギュアかもしれない。私はぐるぐる回るサラリーマンおじさんを手にとりながら、いろいろと考えるのである。

【椰子】