古民家タイ食堂 ラムちゃん
「ラムちゃん」こと後藤ラムヤイさんにはじめて会った時、「微笑みの国・タイ」というあのフレーズが浮かんだ。それぐらいすてきな笑顔で、ラムヤイさんは迎えてくれる。
大工だったご主人のお父さんが建てたという日本家屋で、ラムヤイさんが「古民家タイ食堂 ラムちゃん」を始めたのは昨年七月。店名の「ラムちゃん」とはもちろん、ラムヤイさんの愛称だ。
「介護が終わったら、時間ができて、退屈してたの。この家も18年くらい空き家になっていて、ほっといたら家がダメになってしまうから、開けるようにしようと思って。それでタイ食堂をはじめたの」と話すラムヤイさん。20年ほど家族の介護をしていたそうだ。
タイで料理人をしていたわけではないというラムヤイさんがつくるのは、昔ながらのタイの家庭料理。おしゃれにアレンジしたりせず、ハーブをふんだんに使う。料理は教わったわけではなく、「すっごい料理上手」というラムヤイさんのお母さんの、料理する姿と味から学んだのだそうだ。
タイ料理には、独特な香りの「パクチー」、タイのバジル「ガパオ」、トムヤムクンなどに欠かせない「コブミカン」や「レモングラス」、ショウガの一種「カー」など、なくてはならないハーブや野菜がある。ラムヤイさんは庭や畑でそれらを育て、食材を揃えている。購入すると高価であったり、入手が難しいハーブや野菜も、自分で育てているから、ぜいたくに使うことができ、本格的なタイの味になる。
「本場の味を味わってほしいし、安全・安心に食べられるものがいいから、自分でつくるのが一番。ほかの野菜も、ほとんどわたしが育てているから、季節の野菜で料理します」というラムヤイさんは、食堂をするかたわら、無農薬・減農薬でさまざまな種類の野菜を育てている。そして朝、畑で採った新鮮な野菜を、ラムヤイさんは食堂で調理して出す。この日も、目玉焼きのせ鶏肉のバジルご飯「パットカプラオ」セットを注文すると、庭へ出て、さっとハーブを摘んでから台所に立っていた。庭にはパパイヤまで植わっていた。
ラムヤイさんと向かい合って、一緒に「パットカプラオ」をいただいた。ピリッと辛いだけでないおいしさで、もりもりとご飯がすすむ。「一緒に食べるとおいしいねえ」と笑顔のラムヤイさん。日本に来た頃の話などを、のんびり聞いた。料理じょうずなラムヤイさんは、月二回料理教室を開いていて、タイ料理だけでなく、和食も日本人に教えているそうだ。
日本家屋の庭に、タイの食材が植わり、和室でタイ料理を食べている…ふしぎに居心地がよく、いつしかわたしもラムヤイさんを「ラムちゃん」と気軽に呼んでいた。
古民家タイ食堂 ラムちゃん
滋賀県東近江市五個荘山本町166
TEL: 090-5651-6016
定休日 水・金曜日
営業時間 11:30〜14:30
ラムヤイさんひとりで調理しているので、来店時は予約するのがおすすめ。4人以上で来店の場合は、当日朝までに要予約。
コース2,000〜3,000円(5人以上、要予約)
店舗等の情報は取材時のものですので、お訪ねになる前にご確認ください。
【はま】