奥深いみたらし団子
しんちゃんのみたらしだんごやさん
随分と久しぶりにみたらし団子を食べた気がした。
あの醤油の焦げた匂いに「これだよな〜」とほくそ笑みながら食するのが、みたらし団子の醍醐味なのである。
国道8号線沿いで、串団子のシルエットに大きくだんごとだけ描かれた看板を見つけた。駐車場の一角に小さなお店が出ている。「しんちゃんのみたらしだんごやさん」という。4月にオープンしたばかりである。
しんちゃんこと店主の中澤真治さん(66)が団子を手焼きしている最中だった。メニューはみたらし団子のみと、一途さを感じた。近江米だけで作られた団子を使い、中澤さんが一本ずつ焼いて、特性の甘辛いタレに絡め仕上げる。竹串に4個ならんで、一本80円。安いのである。
「先ごろ、体調を崩しまして、自分のリハビリを兼ねてお店を始めました。看板を見つけてくれたドライバーさんや、口コミで噂を聞いて来店してくれるお客さんが少しずつ増えているのがありがたいです」。
そう言いながら、中澤さんは手際よく団子を炙っていた。道路沿いの看板も中澤さんの手作りだ。
みたらし団子は、搗きたての団子を使うより、搗いてから半日ほど冷蔵庫で寝かせたほうが数倍美味しいのだそうだ。それを中火でじっくり焼く。時間にして5〜6分。7分だと長すぎるという。中澤さんのこだわりである。
「焼きたてで温かいのも美味しいのですが、2時間くらい待つことでタレが染みこんだ、冷めたのも抜群なんですよ」。
手焼きだからこそ味わえる風味である。焼きたてを口に運んだ。これなのだ……。
ところで、竹串の団子4個のうち、上の2個はそのまま食べられるけど、下の2個はどうしても横から齧(かじ)るかたちになる。不器用な僕は、それだけで口端がタレでベトベトになる。もっとスマートなみたらし団子の食べ方があるのだろうか?
最近の悩みである。
しんちゃんのみたらしだんごやさん
滋賀県愛知郡愛荘町長野216-1 日本晴食堂駐車場
TEL: 090-7889-5109
営業時間 12:00〜19:00 / 定休日 月曜
店舗等の情報は取材時のものですので、お訪ねになる前にご確認ください。
【金凪】