平成のDADA Journal article 未解決ベスト3

このエントリーをはてなブックマークに追加 地域: 彦根市 2019年4月30日更新

 669号。平成最後の発行となる。DADAジャーナルは昭和64年(1989)に創刊、平成という時代、まるまる在り続けたことになる。あと数日で令和元年を迎える。当然、来月のDADAは令和初の号である。
 特別感がありなんとなく嬉しい……。平成元年の頃は、人生まだまだ斜に構えていたが、令和は大袈裟ではなく素直に喜びを受け入れようと思う。
 平成最後のDADAは、ほとんどそういうことを考えていなかったので、直近のベスト3を選ぶことくらいしかできなかった。令和は何か考えてみたいと思っている。
 何変わりなく、いつもと同じようにというのが、僕らの主義のような気もするが……。
 長く続けさせていただいた。読者の皆様、発行を支えていただいた全ての方に感謝したい。

編集人  杉原 正樹

オオトックリイチゴ(2016年)

イチゴとイチョウ

オオトックリイチゴは彦根城天秤櫓から鐘の丸にかかる橋のたもと左側

 彦根城のオオトックリイチゴは、彦根城以外では棲息しない固有種だ。自生の「ナワシロイチゴ」と中国・朝鮮半島原産の「トックリイチゴ」が自然交配して生まれた雑種であると考えられている。
 日本の植物学の父である牧野富太郎が明治27年(1894)に発見。牧野は、伊吹山の植物採集の途中に彦根城に立ち寄り、表御殿跡で発見。この時は茎葉(けいよう)だけだったため、明治34年(1901)と35年(1902)にイチョウの精子発見者として世界的に知られる平瀬作五郎に標本作成を依頼。平瀬はオオトックリイチゴの果実と花のついた標本を作成し牧野に送った。この標本により新種と判断し、明治35年に『植物学雑誌』第16巻に発表した。学名には牧野と平瀬の名が記されている(Rubus Hiraseanus Makino)。
 日本の植物学の大スターのダブルネームである。もうこれ以上はない宝物のような植物である。更に調べてみると、実に面白く、様々な妄想が浮かんでくる。
 ナワシロイチゴは日本の山野に自生するごく普通の植物だ。トックリイチゴは中国大陸及び朝鮮半島が原産。どのようにして彦根城で自然交配し根付いたのか?
 トックリイチゴは庭園の植栽にしばしば用いられる植物である。きっと、何回目かの朝鮮通信使か判らないが、観賞にとお殿様に献上したのかもしれない。表御殿跡での発見も納得できるのだが、妄想の域を出ず未解決、謎のままだ。

 平成のDADA Journal article 未解決ベスト3のもうひとつは次回、乞うご期待!?

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