ソラミミ堂

邂逅するソラミミ堂39「一人前の子ども」たちへ

このエントリーをはてなブックマークに追加 2019年3月20日更新

「はんぶん紙ふぶき」  上田三佳

 娘も10歳。早いものだと思う。学校では「二分の一成人」だといって親を招いてくれたりする。「這えば立て、立てば歩めの親ごころ」とは言うけれど、そんなにあわてて大人にならなくてもいいよ、とぼくは思う。
 「半人前の大人」になったことよりも、むしろ立派に「一人前の子ども」になったということをなら、ぼくは祝ってやりたいと思う。…白状すれば「これからは今までみたいに遊んでもらえなくなるよ」とつきつけられているようで寂しいのである。
 もっとも昔は14、5歳で元服で、二分の一どころか大人あつかいだったのだから、その時代の人にこんな話を聞かれたら、大いに笑われてしまうだろう。
 そんなわけで、こんな父から、娘よ、きみに、以下、詩を贈る。

 

ここにいるから

きのうまで はって来たのが
きょうははや 歩いて来るか

一日一にち いっぽいっぽと
きみには できるようになる

あすは走ってとび込んで来い
両手広げて ここにいるから


きのうまで はって行ったが
きょうははや 歩いて行くか

一日一にち いっぽいっぽと
してやれることは なくなる

あすは走ってとび発って行け
ここで両手をふっているから

 

ぬすみぎき

(一)

むすめがねどこで
ねごとでぼくを いま呼んだ!

それはまさしく
ゆめみごこちのくちぶりで。

ああぼくは ぬすみぎきした!

父なるものへのひたむきな思慕。
そのすみきったおさなごころに
ぼくはなみだが出そうになった。

 

(二)

むすめがねどこで
ねごとでぼくを いま呼んだ!

それはまさしく
ゆめみごこちのくちぶりで。

ああぼくは ぬすみぎきした!

ぼくはおおいに嫉妬している。
この子のねむりのただなかで
父のかおするぼくにたいして。

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