とんかつ専門店 MIDORIYAに行こう!

このエントリーをはてなブックマークに追加 地域: 彦根市 2019年9月3日更新

 僕は肉料理が苦手である。白いところがダメで、上等な霜降りなどは縁がないことを喜んでいる。僕とすき焼きを食べると得した気分になることを約束できる。絶対に肉を食べないかというとそうではない。仲間が「肉を食べに行こう」という空気を読むくらいの余裕はある。そんなときは、赤いところを選択する。人生の半分以上、そんなふうに生きてきた。だから、「これは旨い」と笑顔になるようなヒレかつに出合うことなどないと思っていた。しかも、ヒレかつを食べに行きたい気持ちが芽生えるなど……、僕をその気にさせたとんかつ専門店の話だ。
 「とんかつ MIDORIYA」は今年5月のオープン。長碕雄幸さん(41歳)が大津市御陵町の「とんかつ棹(たく)」で3年間修業した後、独り立ちし店舗を構えた。
 「とんかつ棹」のとんかつの味と食感に、昼間「これだ!」と思い、夕方には「修業をさせて欲しい」と頼み込んだという。生パン粉を使い熟成豚肉を低温でじっくり二度揚げすることで、ふんわりサクサク驚くほど柔らかい食感に仕上がる。MIDORIYAは棹のDNAを継承しながら、長碕さんが独自の工夫を重ねている。

 僕が注文したのはヒレかつ御膳(150g・1780円)。しじみの味噌汁、茶碗蒸しがついてくる。ご飯は一人用の釜で炊いた炊きたて……。お米ってこんなに美味しかったのだと、ご飯だけ食べに行きたいくらいである。釜の蓋をとったときの湯気が美味しさを演出している。
 「オーダーが入ってから、一人ずつ調理し、ご飯も炊くので、少しお待たせすることになりますが、ゆっくり楽しんでいただければ」と長碕さんは話す。
 さて、ヒレかつはソースまたは岩塩でいただく。きつね色に揚がったふんわりサクサクの衣が心地いい。そして肉も驚くことにほどけるというのだろうか、その柔らかさが嬉しい。熟成された豚肉は旨く〝よく味わう〟のは久し振りだった。どのくらいの柔らかさか上手く伝わるといいのだが、例えば、年を重ねると食べるものが制限されるが、そのハードルがないといえばわかるだろうか。
 古民家をリノベーションしたという店内はお洒落で、若い女性客が多い気がした。

 長碕さんは「椅子以外は全て大学生の力を借りながら自分たちで創りました。店内から庭を見渡すことができるのですが、庭の手入れや改造はこれからです」と庭だけでなく、これから実現したい計画がまだまだありそうだった。
 実は、肉料理が苦手な僕が「とんかつMIDORIYA」には、何度か通っている。あのサクッというひとくち目の食感と肉の旨みが忘れられないのだ。
 「MIDORIYAに行こう」と誘われたら断らないだろう。とんかつとは関係ないが、レジの後ろに掛かっている仙台四郎の肖像画も気に入っているのだった。 

※長碕さんの「碕」の字はつくりの「大」が「立」ですが、システムの都合上「碕」と表記しています。

とんかつ専門店 MIDORIYA
滋賀県彦根市平田町964
TEL: 0749-27-7710
営業時間 11:30〜15:00・17:30〜21:00(L.O.閉店30分前)・火曜定休
https://midoriya.shopinfo.jp/

ロースかつ御膳100g(1,280円)/ 120g(1,380円)/ 150g(1,680円)、ヒレかつ御膳100g(1,380円)/ 150g(1,780円)ほか

店舗等の情報は取材時のものですので、お訪ねになる前にご確認ください。

小太郎

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