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はまの記事一覧

  • 2016年7月26日

    いつか思い出す、まるいパン お店
    つるやパン まるい食パン専門店

     味の記憶そのものは、写真や録音のように閉じ込めることができないから、もしかしたらどこか不確かなものなのかもしれない。けれども、誰と、どこで、どんな季節に、どんなものを食べたか。そんなまるごとの風景の記憶が、食べものの記憶なんだと思う。  今年4月。長浜駅から歩いてすぐ、地元の人に長く親しまれていた「内藤製パン」... 続きを読む

  • 2016年6月27日

    風が緑になるとき お店
    奥山の癒し処 風緑

     河内の風穴を目指し、緑に染まる谷沿いの道を車で走る。細く窓を開けると、川の音と山の空気が入り、心地よい。一本道をのぼっていくとやがて河内の風穴の駐車場に到着するが、実はわたしの目当ては河内の風穴ではなく、入り口の橋のたもとにある、「奥山の癒し処 風緑」。今年3月末にオープンした、かき氷と多賀そばのお店だ。  店... 続きを読む

  • 2016年6月2日

    ゆっくりマルシェ in まいばら まち・文化

     今月から、伊吹山のふもとのルッチプラザで、「ゆっくりマルシェ」が隔月で始まった。  近頃、手づくりのものなどを販売する定期開催のマルシェがあちこち開かれるようになったが、このマルシェにははっきり示された方向性があり、それが「ゆっくり」である。出店するお店は、暮らしにまつわる衣食住やエネルギーについて、「ていねい... 続きを読む

  • 2016年3月29日

    KiKiの環世界 まち・文化

     花しょうぶ通り商店街にあるギャラリー寺子屋で、「KiKiの環世界—動物行動学者・日髙敏隆の著作と妻・喜久子の挿絵展—」がはじまる。  湖東湖北地域であれば、1995年彦根に開学した滋賀県立大学の初代学長として、日髙敏隆先生を知るひとは多いだろうと思う。  2009年に亡くなられ、私自身は生前お... 続きを読む

  • 2016年3月14日

    ののすておりがみ! まち・文化

    関りんさん  不思議なもようの折り紙が添えられて、編集部に手紙が届いた。様々なもようを一枚のなかに集めた折り紙だった。しかし折り紙と思ったそれは、裏面に「ののすておりがみ発売記念イベント」のお知らせが記されたチラシだった。  「ののすて」とは、2002年まで愛荘町南野々目で操業していた近江上布の織屋「野々捨商... 続きを読む

  • 2016年2月29日

    お多賀さん de 朝市に月参り まち・文化

     雪が降るのではないかと心配していた1月のある朝、目ざめると金色の朝日が窓から差し込んでいた。眩しいほどの晴天だった。いそいそとわたしは家を出て、近江鉄道に乗り込み、多賀大社へ向かった。目当ては、境内で開かれている「お多賀さん de 朝市」だ。  多賀大社の大きな鳥居を入ってすぐ、背の高い木々に囲まれた小径沿いに... 続きを読む

  • 2016年2月17日

    チョコレート専門店 ボンボンショコラ お店
    LE BONBON ET CHOCOLAT

     黒壁スクエアの喧騒から少し離れた大通寺近くの通りに、小さなチョコレート専門店ができた。お店の名まえは「ボンボンショコラ」。口にするだけでこころが弾むようなこの店名は、フランス語で「le bonbon et chocolat」。ひとくちサイズの小さなチョコレートのことなのだそうだ。  ボンボンショコラのショーケー... 続きを読む

  • 2016年1月28日

    くすのきの下からはじまった朝市 まち・文化

     彦根市芹橋の美術教室「金亀土濤シブヤ」では、月に1回、小さな市がたつ。庭に佇む樹齢200年のくすのきにちなんで「くすのき朝市」というその市は、かれこれ10年ほど続いてきたという。ずいぶん前からその存在は知っていたのだけれど、今月、初めて足を運んだ。今年の3月の回をもって、くすのき朝市を終えることになったと聞いた... 続きを読む

  • 2016年1月18日

    伊香のイカすもの まち・文化
    IKA'S MONO STORE

    店長の稲舘俊彦さん  木之本地蔵院の前は、鉄道の方へ向けてなだらかに下る坂道と北国街道がまじわる、T字の交差点になっている。昨夏、その角に、イカのマークがあしらわれたお店ができた。  「IKA’S MONO STORE」。2010年に長浜市と合併するまで伊香郡と呼ばれていた4つの町、木之本町、高月... 続きを読む

  • 2015年12月30日

    本のまちを夢みて お店
    あいたくて書房

     木之本町の北国街道沿いに、「あいたくて書房」という私設文庫ができた。私設文庫……「図書館」でもなく、「本屋」でもないという。  あいたくて書房は、戦後間もなくに建てられたという古い民家にある。それぞれの座敷に並んだ本棚から好きな本を選び、読むことができる。絵本、古い文庫、その時代の暮らしを刻んだ生活雑誌、存在感... 続きを読む

  • 2015年12月18日

    よろずをひとつに お店
    よろず淡日

     彦根市日夏町の巡礼街道沿いにたたずむよろず屋「淡日」。ガラスのはまった木戸をカラカラ、と開けると、裸電球が灯る店内で、古い時計がコチコチと時を刻んでいる。土壁、土間、使い込まれた木箱や棚に商品が並ぶ。時が止まったような空間にしばしぼんやり…でも、「淡日」は今年の夏に開店したばかりの店だ。店主夫妻の疋田実さんと美... 続きを読む

  • 2015年11月28日

    d design travel SHIGA まち・文化

     11月13日、私は渋谷駅にいた。駅前の有名なスクランブル交差点、岡本太郎の壁画「明日の神話」、忠犬「ハチ公」の銅像…。テレビや映像で見慣れていたが、どれも、実物を目にするのは初めてのものばかりだった。ハチ公は意外に低い銅像だった。ガラス越しに見下ろしたスクランブル交差点は、映画のなかで見慣れているせいか、実際に... 続きを読む

  • 2015年11月11日

    まちライブラリー 植本祭 まち・文化
    人と本とまちをつなぐ

     誰かが手放した本を、またべつの誰かに渡す、いわば古本屋という小商いをしている。引き取り、手入れをし、棚に並べ、誰かが手に取るのを待つ。そんなことを繰り返していると、「この本はどこから来て、どこへ行くのかな」と思うことがある。前の持ち主が古本屋で買った本を引き取ることもあるし、戦前にアメリカで買われた本を滋賀で引... 続きを読む

  • 2015年10月30日

    本でつなぐ道 まち・文化
    ひこねウモレボン道

     今年は、秋の気配がやってくるのが早かった。涼しくなり始めた8月終わり頃から、彦根の中央商店街にある古本屋「半月舎」では、「いつも護国神社でやってるアレ、今年もあるの?」とお客さんに訊かれるようになったという。  「いつも護国神社でやってるアレ」とは、毎年秋に、半月舎が開催してきた一箱古本市「ひこねウモレボン市」... 続きを読む

  • 2015年10月19日

    おばあちゃんの味をつなぐ店 お店
    道次商店

     オレンジ色の庇に「餅・生菓子 道次商店」の文字が懐かしい佇まいのこの店は、長浜市永久寺交差点にある。ここで、道次美津枝さんが35年ほど営んでいたという。その前には、長浜市朝日町でも30年お店をしていたというので、美津枝さんは合わせて65年ほど、餅と和菓子を作りながら店頭に立ち続けた。昭和5年生まれの美津枝さんが... 続きを読む

  • 2015年9月28日

    あしもとにある恵み お店
    山のごはん よもぎ

     谷すじは、日が落ちるのが早い。刻々と日が傾いてゆく奥伊吹の山あいの道を、夕暮れに追われるように車で登っていく。刈り取りの始まった棚田、その端に建てられた古びた小屋に目を奪われた。  甲津原の集落に入ると、澄んだ水が流れる水路で、ミョウガをざぶざぶ洗っているひとがいた。鮮やかな紅色が山盛りになっていて、なんだか良... 続きを読む

  • 2015年9月1日

    しし肉づくし お店
    隠れ里 重内

    さっと焼いて塩こしょう、わさびでいただく「しし肉焼き」、「しし骨スープのだし巻き」、外はかりっとほのあたたかく中は冷たい「アイスの天ぷら」  ここ数年、じわじわと「ジビエブーム」なのだそうだ。ジビエとは、フランス語で狩猟によって得られる野生の鳥獣の食肉のこと。フランスでは歴史的に高級食材とみなされてきたが、近... 続きを読む