ソラミミ堂

邂逅するソラミミ堂35 ともに、無事に

このエントリーをはてなブックマークに追加 2018年7月18日更新

イラスト 上田三佳

 昨年暮れに発表された統計で滋賀県は全国四十七都道府県中一番の長寿県(男性・平均寿命。女性は四位)になった。 以前から上位につけていたのだが、一位になるや皆の興味を引くことになり、雑誌やテレビが立て続けにこの話題を取り上げた。
「滋賀! なんで?」と、よっぽど意外だったのだろう、ある週刊誌など「あなたはまだ滋賀県を知らない」なんて見出しで何ページも割いて特集した。お願いしたって、めったに載せてくれないのに、ねえ。
 それで記事を見ると「鮒ずしを食べているから」とか「湖魚を丸ごと食べているから」とか、いろいろな統計情報を引き合いに出してまことしやかな説が開陳してある。なかには「納豆もち」なる伝統食を食べているから、みたいなのもあって、「いやいや滋賀県民だからってそんなに毎日鮒ずしを食べているわけではないヨ」「そもそも納豆もちって何?」という話である。
 もちろんそれらも全く関係ないとは言えないが、実際にはいろいろな要因が複合的に作用しているのだろう。
 せっかくだから他府県の人には鮒ずし効果を信じておいてもらうとして、この顛末を僕が面白いと思うのは、結局のところ(その確立に向けてイベント・宣伝、あの手この手で頑張っているのをしり目に)「そこに暮らす人たちの誰もが健やかで無事で居るということ」、それこそが一番の「地域のブランド価値」なのだと、これではっきりしたからだ。
 とびぬけた、稀少なモノやコト(だけ)ではなくて、健やかで長生きのおじいちゃんやおばあちゃん、健やかで生き生きとした子供・若者、生きものが「ともに、無事に、そこにいること」。それが出発点にあって、そこからさかのぼってみたときに、人びとやその暮らしの健やかさをもたらしてくれる自然や生き物・風土、文化とそれらの互いのつながりといった様々な恵みがそこにあった。
 そんなふうにしてたどり着くのが「地域ブランド」「地域の魅力」だと思う。
 すなわちわれらが誇りに思い大事にすべきは、「ともに、無事に」につながる滋賀の、地域の「ブジネスモデル」だと思う。

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