ソラミミ堂

邂逅するソラミミ堂12 妖精の扉

このエントリーをはてなブックマークに追加 2015年8月5日更新

製作・写真  アトリエうみてて

 神さまはどうだと言われたら、たしかにいるという人と、そんなのいないという人と、いるかいないかわからない、という人がいるのである。
 鬼はどうだ、お化けはどうだと言われたら、たしかにいるという人も、そんなのいないという人も、いないかいるかわからない、という人もいるのである。
 「妖精の扉」を、娘がつくってきた。
 となりまちで教室が開かれたので、行って手ほどきを受けながら、作ってきた。
 古びた味のある板切れに、かわいい扉が貼り付けてある。ちゃんと庇もついている。
 さっそく、土間の物かげに据えると、たちまち、いかにも妖精宅の玄関である。
 以来娘は、朝起きては、また学校から帰ってきては、妖精宅の玄関先を覗きに行って、扉の向こうに住人の気配はないか、周りになにか痕跡を残していないか、と観察している。森に架けた鳥の巣箱を覗きに行くような、そんな様子で。
 聞くところによると、自分の家に住み着いた妖精と手紙や贈り物のやり取りをしている子らもあるらしい。扉の前に手紙や贈り物を置いておくと、しばらくしたらなくなっていて、次の日あたりに返事やお返しがおいてあるそうな。さて我が家ではどうだろう。さて、どうしよう。
「妖精の扉」は、湖の東を中心に、人家やまちかど、公園それに役場の中にまで、続々出現しているそうだ。近辺の妖精界は、いまひそやかな建設ラッシュである。
 妖精は、いるかいないか、いるかいないかわからないのか、いつかはそれもわかるのか。たしかなことはわからない。
 それでもひとつたしかなことは、いるかいないかわからぬものを、いると信じて何かをつくり、何ごとかをなすこの子らが、人間という変ないきものが、ここにたしかにいるということ。
 妖精が万一想像だとしても、人間のその想像力は現実である。その現実に従って、互いに助け、また殺し合う、変ないきもの。
 大事なことは、神さまや鬼やお化けや妖精を信じられるかどうか以前に、人間の想像力を、人間を、信じられるかどうかなのかもしれないな。
 愛や平和もおんなじだ。

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