コーヒースタンドという文化

このエントリーをはてなブックマークに追加 地域: 彦根市 2013年10月18日更新

 JR彦根駅西口に「MICRO-LADY COFFEE STAND」(マイクロレディコーヒースタンド)というコーヒースタンドがオープンした。喫茶店でもカフェでもない「コーヒースタンド」というスタイルのコーヒー店が東京を中心に増えているのだ。
 今、アメリカのコーヒー文化は「サードウェーブ(第三の波)」を迎えているといわれている。最初の波は、70年代までのコーヒー大量生産・大量消費の時代。第二の波は、70年代から2000年頃にかけての高品質なコーヒーを提供しようという動き。「スペシャルティーコーヒー」と呼ばれる高品質コーヒーの概念が誕生し、シアトル系コーヒーチェーンが流行した。 そして、それに続くのが第三の波だ。使用するコーヒー豆の産地は、国単位でなく農園単位で厳選し、豆の個性を最大限に引き出す抽出方法を追求するのが大きな特徴だ。

 このサードウェーブは日本でも広まりつつあり、コーヒーを熟知したバリスタがおいしいコーヒーを提供する、立ち飲みやテイクアウト主体のコーヒースタンドというスタイルが急増している。
 MICRO-LADY COFFEE STANDもそんなサードウェーブの最先端を行くコーヒースタンドだ。店を営むのは木村宏さん・瑞穂さん夫妻。 もともとコーヒーが好きだったという宏さんは、数年前、コーノ式ドリッパーに興味を持ち、彦根市日夏のコーヒー店 Yeti Fazendaに通ううちに、ドリップコーヒーの魅力に取りつかれたのだそうだ。それからコーヒーに夢中になり独自に研究を重ね、イベントなどに出店するようになった。1年前に仕事を辞め、東京のバリスタの専門学校に通い、コーヒーの専門的な知識やエスプレッソマシンの技術を習得し、この店をオープンした。

木村宏さん・瑞穂さん夫妻

 コーヒーは、ハンドドリップとエスプレッソの2種類の抽出方法で、ドリップコーヒーやエスプレッソ、カプチーノ、カフェ・ラテなどの他に、バニラアイスにエスプレッソをかけたイタリアのデザート「アフォガード」もある。豆は、日替わりで3種類の豆を用意している。すべて単一農園の厳選した豆を使用したシングルオリジンのスペシャルティーコーヒーだ。
 コーヒーの抽出……とくにエスプレッソは非常にデリケートで、その日の気温や湿度によって豆の量や挽き具合、フィルターへの詰め具合を微妙に調整しているのだそうだ。宏さん曰く「豆と対話をしているよう」だという。豆選びからはじまって、焙煎具合、挽き具合、抽出時の加減とコーヒーには無数の要素があって、その一つひとつで味が変わってくる。宏さんはそれを、細かいデータをとって分析し、あるときは手探りで、あるときは経験に基づく勘を頼りに1杯のコーヒーをつくりあげる……その作業が楽しくて仕方ないのだという。
 「スペシャルティーコーヒーやコーヒースタンドといった文化が根付くにはまだまだ時間が必要。少しずつ知ってもらって、もっとコーヒーのことを好きになってもらいたい」という宏さん。
 MICRO-LADY COFFEE STANDをきっかけに、コーヒースタンドという文化が広まるといいと思う。
 実は僕は、ちょっとしたコーヒー通のつもりでいたのだけれど、宏さんの話を聞ききながら、コーヒーの奥の深さに圧倒され、自分が恥ずかしくなってしまった。コーヒーのことをもっと深く知りたい気持ちだ。

 夫婦そろって英国車MINIが好きだという木村夫妻。店内は、60年代を中心としたブリティッシュテイストで統一されている。この場所はもとはJRの倉庫だったそうで、決して広くはない空間だが、かえって英国調の雰囲気とマッチして心地がいい。入ってすぐのところには高めのワーキングテーブルとスツールがあり、店内での飲食も可能。
 さらに奥には雑貨販売のスペースもありイギリスのビンテージファブリックを使った衣料や雑貨が並ぶ。瑞穂さんが現地のデザイナーと直接やりとりをして日本に入れているもので、ほとんどがここでしか買えないオリジナルのものだそうだ。

MICRO-LADY COFFEE STAND

滋賀県彦根市古沢町40-2 JR彦根駅構内
http://micro-lady.jp/

ドリップコーヒー(Hot/Ice) S 350円 / M 400円、アメリカーノ(Hot/Ice) S 250円 / M 300円、エスプレッソ 250円、カプチーノ S 350円 / M 400円、カフェ・ラテ(Hot/Ice) S 350円 / M 400円、秋田のりんごジュース 300円、アフォガード 400円、フレッドくんクッキー 180円、バナナケーキ 250円など

店舗等の情報は取材時のものですので、お訪ねになる前にご確認ください。

編集部

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