丁寧に届ける、丁寧な手仕事

器・生活道具 The Good Luck Store

このエントリーをはてなブックマークに追加 地域: 彦根市 2012年7月13日更新

日々の暮らしにマッチする器や生活雑貨の数々が並ぶ

 食事の時や物を飲む時に使う“器”。日本人の飲食スタイルを考えると、器の良し悪しは料理や飲み物の味において大きな役割を担っている。料理を盛りつけた際の美しさによる視覚への貢献だけでなく、器を手に持ち、口をつけた際には触覚や味覚にも影響を与える。毎日の食事をより幸せで充実したものにするために、吟味した器を使うのは実は当たり前のことかもしれない。
 古い街並の残る彦根の老舗商店街「中央商店街」の北詰にこの春できた器の店がある。彦根商工会議所のチャレンジショップ第26弾としてオープンした「器・生活道具 The Good Luck Store」だ。店内に並ぶ作品は、日々の暮らしにマッチする器や生活雑貨の数々。素朴で力強く、手仕事の良さを感じるものが中心。使いやすさにも十分考慮した作品は手に馴染み、毎日使っても飽きない。

 作品は店長の中山通正さんが現地に出向き、作家や窯元と交渉して買い付けている。買い付けの際に心がけているのは、「長く使える・使いたくなるものや、何気ないけれど幸せな気持ちになるもの」だという。昔から変わらない方法で作られている器や、その土地の土や材料を使っている作品、さらには伝統を重んじながらも新しい試みで作られた物をひとつひとつ丁寧に選んでいる。
 中山さんが器の店を開いたのは、手仕事への興味がきっかけだった。「以前から丁寧な仕事が大事だと考えていました。自分の気持ちをこめた仕事、使う人のことを考えた仕事に憧れを持ち、作り手と買い手の間に立ちたいと考えました」と中山さんは話す。日常のなかで使う、身近な存在であり、職人がひとつひとつ手仕事で丹精をこめて製作しており、個性が存分に発揮される作品でもある「陶器」を中心に、器を扱う店へとたどりついた。

店長の中山通正さん

 「お客様とお話するときにも“丁寧”を心がけています」と中山さん。作品に興味を持った人に、作り手の心を伝えるようにしているという。「ひとりの作家さん、ひとつの作品にもストーリーがあります。ただ物を売るのではなく、作品にこめた思いを一緒に伝えたいと思っています」。
 中山さんは「大変なのは買い付け」だという。気に入った作品や気になる作家がいれば、全国各地を飛び回って取り扱いたいとお願いする。“商品を仕入れる”という考え方ではなく、まずは作り手との関係を築いたうえで、作品を預かる感覚のようだ。惚れ込んだ作家の作品を扱うために何度も現地を訪ねることも少なくはない。「何度足を運んでもだめなときもあります。何度も何度も訪ねて、ついに取り扱えるようになったときは本当にうれしいです」と中山さん。思い入れのある商品だからこそ接客にも力が入る。
 素直に手に取りたくなり、盛り付けると映える料理を自然に考えてしまう器は、食卓に並んだ姿がすぐに想像できる。毎日、毎食使う食器だからこそ、少しいいもの、本当に気に入ったものを、ひとつひとつ吟味して選んでみるのはいかがだろうか。

器・生活道具 The Good Luck Store

滋賀県彦根市中央町2-30 / 営業時間 11:00〜19:00
定休日 水曜日 / Tel.0749-20-9529

滋賀県下をはじめ、日本各地の窯元や作家と直接交渉して買い付けてくる器や硝子製品、アナログな生活雑貨がそろう。河原崎優子さんの作品は器1,995円〜、スプーン置き550円。イラン宙吹き硝子は1,300円〜、など。

店舗等の情報は取材時のものですので、お訪ねになる前にご確認ください。

みなみ

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