“人とビール”が主役の店

このエントリーをはてなブックマークに追加 地域: 彦根市 2012年5月18日更新

Peterの店内

西堀満さんと、従業員のフローランスさん

ランチの沖縄そば定食

ビールの味を引き立てるメニューが揃っている

 「ビール」と聞いて思い浮かぶのは、キリン、サッポロ、サントリー、それともアサヒだろうか。長年国産大手メーカーの寡占状態にあった国内のビール市場だが、地ビールの規制緩和や輸入ビールの台頭などを経て、少しずつ様相が変わってきた。「地ビール」はブームとその終焉を経て、「クラフトビール」と名を変えた。現在は小さいが真摯なブルワリー(醸造所)が、味や香りを追求したビール作りに打ち込んでいる。
 彦根でクラフトビールを広めたいと考えたのが西堀満さんだ。2011年11月、彦根商工会議所のチャレンジショップ事業を利用し、佐和町商店街にビアカフェ「Peter(ピーター)」をオープンした。
 Peterは単にクラフトビールを並べた、種類の多さを売りにした店とは一線を画す。西堀さんが惚れたビールのみを厳選。「世界的に認められた本当においしいビールだけを提供したい」との思いが込められている。
 西堀さんとクラフトビールの出合いは、以前の仕事を通じて。ビール醸造に使う機械のメーカーに就職した西堀さんは、業者としてブルワリーに出入りするうちにその魅力に目覚めたという。「地元・滋賀においしいクラフトビールを紹介したい」と強く感じ、5年の修業の後に店を開いた。オープンにあたってこだわったのは、会社員時代に醸造元にも出入りし、惚れ込んだ「よなよなエール」を扱うことだった。
 「エール」とは大麦麦芽を使用し、酵母を常温・短期間発酵させて造るビールの一種。豊かな香りと深いコク、フルーティーな味わいを持つ。よなよなエールは、美しい琥珀色とほんのり甘さを感じるコク、苦味のあるフレーバーが特徴だ。
 世界的な評価も高く、もちろん飲んでおいしい。加えて自身が製造の場にかかわり思い入れも深い。そんなビールを「できるだけおいしい状態で提供し、多くの人に味わってほしい」と、滋賀県下で初となる「樽生よなよなエール」も導入した。Peterの主役は“人とビール”。だからこそ料理は家庭的でシンプルを心がけているという。沖縄の家庭料理を中心に、ビールの味を引き立てるようなメニューを揃えている。
 「目指すのは地域密着のお店です」と西堀さん。「『まいど』と言って入れる店。店員とお客様、お客様同士など、人と人とが触れ合える場が目標です。『ここに来ると落ち着く』と言ってくださるような店にしていきたいと思います」。
 クラフトビールにこだわっているものの、雰囲気は気取りがなく親しみやすい。近所の店で、いつものビールとおいしいものを食べようと思って足を運び、ちょっと変わったビールをみつけてオーダーする。飲んでみると意外とおいしい。居住まいを正してクラフトビールを飲ませていただくのではなく、普段着感覚で本格的なビールに触れることができる。「地域密着」と、「おいしいビールを広めたい」という熱意が融合した幸せな空間。それがPeterなのだ。 

Peter

彦根市佐和町9-30 / TEL: 0749-26-2625
ランチ 11:00〜14:00 / ディナー 17:00〜23:00頃
日曜定休

ランチは沖縄そば定食のほか、手こねビーフハンバーグ、タコライスなど数種類。夜はラフテー 580円、海ぶどう 500円など沖縄料理を中心に、ビールに合うメニューが並ぶ。自慢のビールは樽生よなよなエール(ハーフパイント)550円をはじめ、樽生3種、ボトル10種が揃う。

店舗等の情報は取材時のものですので、お訪ねになる前にご確認ください。

みなみ

スポンサーリンク
関連キーワード