赤い花のそば、赤そば!

そば処 赤そばの郷

このエントリーをはてなブックマークに追加 地域: 東近江市 2011年11月21日更新

赤そばの花

 蕎麦はまだ
  花でもてなす
   山路哉     芭蕉

 「蕎麦」は、秋の季語である。ちょうど稲刈りの時期の前後だろうか、田園風景の中にそばの花が咲き乱れているのを見かけることがある。そばの花といえば真っ白い小ぶりなものだとばかり思っていたのだが、赤い花のそばがあるという。赤そばは、赤い花のそば粉を使う。

そば処 赤そばの郷

 旧愛東町にある「そば処 赤そばの郷」は、毎月第3土・日曜日にのみオープンするそば店だ。東近江市商工会女性部愛東支部の約15人による、手打ちの二八そばを味わうことができる。
 「愛東町では60年ほど前に赤そばが栽培されていたようなのですが、その後途絶えていました。数年前、再び赤そばが植えられるようになり、特産品になればとの思いからそば粉を使ったお菓子などの開発を経て、2年前からそばを打つようになりました」と支部長の山本美千代さんが教えてくださった。

東近江市商工会女性部愛東支部のメンバー

 赤そばというからには、そば粉の色もが赤いように想像するが、普通のそばと見た目は変わりがない。しかし赤そば粉を使ったそばは、国内でも多くはない。白い花のそばに比べて粘りが少ないため麺にしたときに切れやすく、そば打ちに向いていないせいである。どうすれば、「切れないそば」になるか……。山本さんらは赤そばの粉を持参し、各地のそばどころを訪ね歩き、解決策を探したそうだ。
 「長野のそば道場で、そば粉にお湯を足していたんです。これが赤そばにも向いていました。今は98℃のお湯を、気温や季節によって量を加減しながら足しています。さらに粘りを出すために、普通のそばなら300回ほど練るのを、400回近く練っています」。

 メンバーは、自らの得意分野を生かしながらそば作りを分担している。そばを打つ人、そば粉のお菓子づくりに精を出す人……といった具合だ。そばつゆを引き受けるのが、そば部長の山本トシ子さんだ。かつお、昆布、じゃこを使い丸一日かけて仕込む。赤そばは普通のそばと比べて香りが強いのが特徴だそうで、その香りを最大限に引き立てるために労力を惜しまない。ラーメン店を営んでいたトシ子さんのノウハウが生きた自慢のつゆである。
 花でもてなすころは過ぎ、季節は新そばである。12月の営業で登場予定だ。王道のざるにするか、温かいつゆのきつねにするか……悩ましいところだ。両方、食べればいいのだけれど。

 

そば処 赤そばの郷

滋賀県東近江市上岸本町733
営業 毎月第1・第3の土・日曜日 11:00〜14:00

そば定食 1,000円(ご飯もの、おそうざい、漬物付)。そばがき、ガレット各500円など。
12月31日は17:00頃から未明にかけ年越しそばの営業をする(28日までに要予約)。

店舗等の情報は取材時のものですので、お訪ねになる前にご確認ください。

椰子

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