うまいもんをうまいように

季節料理 ひのや

このエントリーをはてなブックマークに追加 地域: 東近江市 2010年8月16日更新

「うまいもんをうまいように」の看板

 国道307号線から永源寺方面に向かっていたときのことだ。「うまいもんをうまいように」と書かれた看板に出会った。「季節料理ひのや」と店名にはある。寿司や豆腐の文字もあるから和食店だと見当はついたが、気になるのは「うまいように」の部分である。一体どんな風にうまいのだろう…。看板の矢印に導かれ、お店を訪ねた。
 「うまいもんをうまいように」という言葉は、ご主人の中川喜延さんによるものだ。長く京都の料亭などで修業してきた中川さんは、縁あって20年程前に料理旅館だった「ひのや」を引き継いだ。会席や京風創作料理、一品料理など季節の和食を出すお店のことを知ってもらいたいと、道路沿いに看板を設置したのだという。

いわな定食

点心

 「『うまいもん』は素材のことです。和食は素材で決まります。素材が悪いといくら手をかけてもおいしくないんです。そして『うまいように』は、和食の職人として腕をかけて、良い素材をもっとも活かす料理をするということです」と教えてくださった。
 以前は他にもいろいろフレーズを考え、掲げていたという。魚なら各地の市場からほぼすべて天然ものを仕入れる。煮物なら素材同士の味が混じり合わないように単品で煮る。鰻に使うタレは秘蔵で20年前のものを付け足し続けながら使い続ける…。お話を聞いているだけでも中川さんが徹底して料理に手間暇をかけていることがわかる。「ただただ、おいしいもんを知ってほしいんです。食べる喜びは失くしたら駄目なものです。それを伝えていくのが自分の役目だと思っています。とにかく食べていただかないとわからないことです」。最後に中川さんはこんな風にお話しくださった。
 「うまいもんをうまいように」とは、中川さんが修業中に培った、上質の素材を見極める目と、扱う腕が凝縮された言葉であると同時に、「ひのや」で至った料理人の境地だったのである。

 

季節料理 ひのや

滋賀県東近江市山上町1266 / TEL: 0748-27-0052
昼 11:00〜14:00 夜 17:00〜21:00 / 火曜休

イワナ塩焼き630円、あんかけ温豆腐735円、鰻重 肝吸い付1,470円〜(夏季)、昼の定食 / 点心1,890円、冷し麺セット1,260円(夏季)など、夜 / 会席コース3,000円程度〜、豆腐料理のコースなど

店舗等の情報は取材時のものですので、お訪ねになる前にご確認ください。

いと

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