一人を楽しむパスタ

　一人で外食をする時がある。女性にとってはけっこう勇気が必要だ……、と思う。なかには絶対に無理という人もいる。私は比較的平気だが、それでもお店の雰囲気や食べるものは限定されてくる。遠出をしたのに、一人ゆえに、何処にも入ることができず、結局、ファーストフードというときもある。
　彦根の夢京橋キャッスルロードに昨年末オープンしたパスタ専門店「Cocotte（ココット）」は、最近見つけた「一人でも平気なお店」だ。
　まず、カウンタースペースがある。厨房を囲むようなL字型で、奥まった場所までカウンターが延びている。この奥まったというのがポイントだ。一人の空間をのびのびと過ごせるような気がする。
　パスタ専門というのもいい。「イタリア料理として気構えるのではなく、もっと気軽にパスタを食べてほしい」というオーナーの思いがこめられている。
「イタリア料理」は、仲間や家族とたくさんの料理を取り分けながら楽しむというイメージがある。でもパスタだけをさらっと、ということなら、うどんやそばのお店のイタリア版だと考えられる。これなら一人でも気構えるところがない……、というのは私の勝手な理解の仕方だろうか。　
　Cocotteのパスタメニューは、トマト系からクリーム系、オイル系までバラエティに富んでいる。お店のおすすめは、マヨネーズをたっぷり使った「明太子とコーンのツナマヨネーズ」。
　……実はマヨネーズは大の苦手である。そんな私にオーナーは「あさりとエビのぺペロンチーノ」を提案してくださった。
　ぺペロンチーノといえば、オリーブオイルとニンニクと唐辛子がベースになっているのだが、気になるのが食後のニンニクの匂い。「ニンニク少な目で」というリクエストにも快く対応してくださる。仕事の合間の一人ランチにも問題ない。
　みんなで食べるごはんも大好きだが、一人のランチはお気に入りの時間だ。ゆっくり料理を味わうだけではなく、リセットとリカバーもできる。Cocotteはそんな時間を提供してくれるのだ。

【椰子】