自家製ソーセージのホットドッグ

SMOKE & DELICA Don Dog

このエントリーをはてなブックマークに追加 地域: 長浜市 2017年6月13日更新

 ホットドッグといえば赤いケチャップと黄色いマスタード、というイメージに反して、Don Dogの「ベーシックドッグ」は、パンにはさんだソーセージの上にフライドオニオンがまぶされた、シンプルな姿で登場する。鉄板でこんがり焼かれた自家製ソーセージは、ボリューミーで、パンから大きくはみ出ている。
 ケチャップもマスタードもカウンターに置いてあるけれど、店主の浅尾将大さんの「まずは何もつけずにどうぞ」という言葉に、そのままぱくっとかぶりつく。ソーセージの皮がパリッとはじけ、ハーブが香り、肉と脂の芳醇なうまみが口のなかにひろがる。ソーセージに塩味がしっかりきいていて、皿に添えられたピクルスのさっぱりした味とドッグを交互にたのしんだりしているうちに食べきってしまい、結局最後までケチャップもマスタードもいらなかった。
 取材に伺ったのは、夕方前に店が閉まる、木曜の午後。カウンターのなかでは浅尾さんがソーセージの仕込み中で、ボウルの中の肉を混ぜていた。「低温に保ちながら、肉と塩と水を混ぜて乳化するエマルジョンという作業です。粘りが出るまでやらないと、ソーセージのプリっとした感じが出ないんですよ。このあと腸詰めして、乾燥させて、ボイルして、乾燥させて、さらに燻製して完成…。自家製ソーセージでホットドッグやろうって決めて始めたんですけど、やってみたらめちゃ大変でしたね」と笑いながら、休まず手を動かしている。その後ろでは、イチゴジャムを煮立てる鍋がいい匂いをさせている。

 市販されているソーセージには発色剤や保存料が使われているのが一般的だ。最近は小さな子どもに食べさせるのを控える親も多いと聞くが、Don Dogでは、ソーセージだけでなく、店で出すサンドイッチのハムやスモークサーモンも、無添加の素材で浅尾さんが自家製している。「やっぱりお客さんの反応は全然違うし、添加物のない味はこうなんやでっていうの、知ってもらいたいですね」という。
 手間を惜しまない職人のような浅尾さんに、料理の勉強はどうやってされたのか聞くと、「いや、僕はずっとアメフトやってて…」という意外な答え。実は中学生の頃からアメリカンフットボールに打ち込み、立命館大学ではキャプテンとしてチームを日本一に導いた選手だったのだ。卒業後も企業チームに所属し、引退後に大阪で調理や飲食店の仕事に携わるようになったという。長浜市出身だが、高校から地元を出ていた浅尾さんは、「地元で店をしたい」と昨年長浜に戻ってきたのだそうだ。
 「肉も野菜も、都会では素材を仕入れるだけですが、ここでは地場でとれるものを知って、生産にも携わって加工できるのがいいですね。ホットドッグに限らず、いろいろなものをつくっていきたい」という浅尾さんは、地元で猟をし、ジビエをひろめるNPOにも参加。いつか「猟師兼料理人」としてジビエ料理を披露してくれるのかも、と楽しみにしている。

SMOKE & DELICA Don Dog

滋賀県長浜市室町444-1
BORN FREE PLACE IN THE SUN NAGAHAMA内
TEL: 080-9160-1417
営業時間 11:30〜20:00(木曜のみ15:00まで)
定休日 火曜日

テイクアウト可能。注文数が多い場合は事前予約がおすすめ。

店舗等の情報は取材時のものですので、お訪ねになる前にご確認ください。

はま

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