おばあちゃんの味をつなぐ店

道次商店

このエントリーをはてなブックマークに追加 地域: 長浜市 2015年10月19日更新

 オレンジ色の庇に「餅・生菓子 道次商店」の文字が懐かしい佇まいのこの店は、長浜市永久寺交差点にある。ここで、道次美津枝さんが35年ほど営んでいたという。その前には、長浜市朝日町でも30年お店をしていたというので、美津枝さんは合わせて65年ほど、餅と和菓子を作りながら店頭に立ち続けた。昭和5年生まれの美津枝さんが亡くなったのは昨年4月。そのあとを継ぐように昨年11月、美津枝さんの孫・饗場彩矢果さんと、彩矢果さんのお母さん・道次京子さんでリニューアルオープンしたのが、現在のお店だ。
 彩矢果さんは、京都の製菓学校でお菓子づくりを学んだ後、お菓子屋さんやパン屋さんで働いてきた。幼い頃から美津枝さんのお手伝いをしていたという彩矢果さんにとって、お菓子づくりはごく身近なことだったのだそうだ。地元長浜で、京子さんと二人でお店を始めようと考えていた矢先に美津枝さんが亡くなられ、その後もお華束の注文などを受けている内に、このまま道次商店でお店をしていこうということになったという。
 ガラスケースには、おはぎ、ニッキ餅、うぐいす餅といった美津枝さんのレシピをベースにした素朴な和菓子のほか、彩矢果さんのレシピでつくるマラサダドーナツ、ラスク、クッキー、ロールケーキなどが並ぶ。美津枝さんがいた時と変わらず、お華束、赤飯、お餅なども注文を受けている。

 おばあちゃんのお店の味を受け継ぐ一方で、色粉を使わないなど、なにかと改良もしているそうだ。彩矢果さん自身子どもを産み「子どもと安心して食べられるものが少ない」と気づいたという。道次商店のお菓子はよけいな添加物を使わずにつくられる。もちろん、すべて手作りだ。
 道次商店の台所には、ひときわ大きな存在感の、餅つき機がある。もちろんこれも美津枝さんが使っていたもの。「餅つきは必死です」と彩矢果さん。餅つき機を動かすと、石臼に大きな杵がどすん、どすんと迫力のある音を立てて降りてくる。その間に、すばやく餅を返していく。重い杵だからこそ、お餅をおいしくたくさんつけるが、これはまさに必死の餅つきだ。餅がつき上がると、熱々の餅を切り、粉をつけて、すばやく丸めていく。表の面がきれいになるよう、裏の面へ捏ね込むようにくるくる丸めていく手つきがもの珍しい。「これもおばあちゃんのやってたやり方ですよ」と京子さん。お客さんも、美津枝さんがお店をしていた頃からのお客さん、京子さんの世代、彩矢果さんの世代のお客さんと、幅広いお客さんが訪れるという。使い込まれた道具、二人のお菓子をつくる手つき、お客さん。お店のそここに、二人が「おばあちゃん」と呼ぶ、美津枝さんから受け継いだものがある。
 私は、塩味のきいた餅が甘さをひかえめの餡をまとったこの店のおはぎが大好きで、この日、四つ購入した。一つは自分に。残り三つは誰にあげよう、と考えたら、いろんな年の、いろんなひとの顔が浮かんだ。

道次商店

滋賀県長浜市永久寺町448-4
TEL: 0749-62-0489
営業日 木、金、土曜日 / 営業時間 9:00〜17:00

店内で飲食もできます。
豆大福、よもぎ餅、華束など、お餅をつかった商品は受注制。

店舗等の情報は取材時のものですので、お訪ねになる前にご確認ください。

はま

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